4月。4月は新しい人生の道のりでもある。
学生は一つ学年が上がったり、新しく新入生として
これから新しい学校生活が待っているという人もいるし
逆に学生を卒業して社会人として働く人もいる。

そしてみな一歩、大人へと近づく。そして、
4月は新しい出会いもあるが、これまでの友達、恋人
など離れてしまうケ−スもある。

この男、忍足謙也も…可愛い恋人と4月から
離れ離れである。といっても会おうと思えば会えるわけなのだが…


「……今頃なにしとるんかなぁ〜。光…部長大丈夫なんかな?
 会いたいなぁ…。やけど…あかんよなぁ…忙しいよなぁ…」


そう、忍足の恋人は四天宝寺中学3年のテニス部部長なのだ。
忍足は気を使って中々会いに行けずにいる。自分も高校に入り
また、1から1年生をやっているのでコ-トの整備や後片付けなど
やらされているので終わるのがいつも遅い。その理由もある。


「会いたい、会いたい、会いたい…光に会いたい…」


呪文のように、忍足は一人。誰もいない放課後の教室で自分の机に伏して
ブツブツとずっと会いたい"と呟いていた。
すると誰かから教科書でスパ---ン!と叩かれた


「痛っっ!!!!!!!」

「うるさい、何を一人でブツブツ言っとんねん。お前傍から見たらキモイで、マジで。」

「白石っ!つかキモイってなんやねん!!キモないわ!」


忍足を叩いたのは嘗て一緒に中学時代に全国優勝を目指した元
四天宝寺中学の部長、白石だった。忍足は叩かれた頭を押さえていた。


「いや、キモイ。つか不気味やわ…」

「お前…最近酷ないか?」

「そんな事あらへんよ。本当の事言ったまでやん」

「………それが酷いんや」ボソっ

「ん?なんか言ったか?ん?」


白石は両手をグ-にして忍足の頭をグリグリと笑いながら
問いかけた。忍足はなんも言ってません!すいません!!"と
涙目になりながら白石に謝った。


「分かればよろしい」

「……」

「なんやねん」

「いえ」

「そか。…………んで?」

「ん?」

「いや、ん?やなくて…なにを悩んでたん?」


白石は忍足の前の席に座り問いかけた


「あ〜…いやなぁ…光にずっと会うてないから…」

「ふ〜ん」

「ふ〜んって!」

「会いにいけばえぇやないか」

「…せやけど…部長引き継いでから忙しいやろうし…」

「……そんなん気にしとったらいつまでも行けへんで?」

「………」

「きっと財前も謙也に会いたいって思っとるはずや。」

せやから行ってき"と白石は忍足の頭を撫でる。

「………そうかなぁ?……うん。行ってみる!俺、今日行ってみるわ!」

「おん、今日は部活も休みやし、行ってやり」

忍足はガタンと勢いよく立つとそのまま全速力でカバンを持って
走って行ってしまった。その姿を白石は苦笑いしてほなな〜"と手を振った

廊下からおおきにと聞こえたような気がした。

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M i l k yuki