「シルバー、私はイッシュへ行く。ここにはもう用はない…」

「ジョウト制圧は嘘だったって訳か…」


まんまとはめられたぜ、と俺は呟いた。
どうせコイツらの事だ。
伝説のポケモンの細胞でも集めていたんだろう。
そしてイッシュでまた何かをするつもりなのか…?




「シルバー」

「………」

「こいつらを、殺してイッシュへ来い」


そう言い放つとサカキは飛び去った。



俺にはもう大切なものも守りたいものもない
それならいっそ、もう、あいつと同じ道を歩もう。


最初で最後の涙。
あいつらに流した涙。



「オーダイル、やれ」



俺はもう、人間じゃなくなるんだよな。







「バグフーン、火炎放射!」

「メガニウム、はっぱカッター!」


…………………!




「何してんだよ、マブダチ」

「あたし達が死ぬなんて、絶対ないってコトネ!」



「…ヒビキ、コトネ………?」


「お前達、無事だったのか…?」


「カツラさんが、助けてくれたんです。」

「たまたまここに遊びに来てたらしくて…」


だから居なかったんだな…
全く、あの人は…
居なくてブチ切れてた俺も、今ではカツラに感謝していた

無事でよかっ…



パシィイン


乾いた音が響いた。
そこには頬が赤く染まったシルバー、立ちつくすヒビキ、明らかに平手打ちをしたコトネの姿があった。

…ここはもう、大丈夫そうだな。


「グリーン、チャンピオンのところに行こう」

「あぁ。」


その話すんだらリーグに来い、と伝え、俺達は飛び経った。










「シルバー、あんた何しようとしたか分かってんの?」

「……………」

「コトネ、落ち着いて…」

「うるさい!…あんたは良いかもしれないけどね、直接手を染めたポケモン達にとっては、一生残る傷になるのよ?」

「…すまなかった」

「あたしはね、あんたがサカキなんかに負けないと思ったから先に行かせたのよ?なのに、何よ、あれ」

「…知らないくせに」

「…?」

「お前に、俺の気持ちが分かるのかよ!」

シルバーが声を荒げた。
初めてみる光景に、僕もコトネも目を見開いていた。



「お前達が死んだ、スカイが壊れた。…俺にとっては、お前たちしか居なかったんだ……

こんな俺でも、変われると教えてくれたお前たちしか…

一緒に旅をして、笑って、はぐれて、怒って…
最初は馬鹿みてぇと思ってた。


でも俺は、

お前達のそばが、心地良かった、初めての俺の居場所だったんだ」


「シルバー…」


涙、はどうして止まってくれない




ふわり、と暖かいものが俺を包んだ。


「シルバー、あたしもあんたとの旅は楽しいのよ?」

「僕だって!…シルバー時々酷いけど。」


コトネもヒビキも、泣いていた。

「もうっ、シルバーが嬉しい事言ってくれるからよ!」

「本当だよ」


「……今のは忘れてくれ」


そして、2人で
にっ と笑い、こう言った。

「「絶対嫌!」」


こいつらと居ると、


「…………ふ」


自然と、笑えるんだ。





(さて、リーグに行こうか!)

(頬痛い)

(愛のムチよ!)


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