さよなら


ゲーチスとの戦いはトウヤの一方的なものだった

キミは強いね、トウヤ…
初めて会ったときよりも、はるかに………








「ワタクシの世界征服が…!


どういうことだ…?
このワタクシはプラズマ団を作り上げた完全な男なんだぞ!
世界を変える完全な支配者だぞっ?!」



「ねえN様…
今もポケモンと人は別れるべきだと考えますか?」

「…ふはは!
英雄になれぬワタクシが伝説のポケモンを手にする…
そのためだけに用意したのがそのN、そしてユウリ、あなただ…

いってみれば人の心を持たぬバケモノです…!」

「………っ」

「そんないびつで不完全な人間に話が通じると思うのですか」

「…お前にこそ心がないよ」


「…N様は、そんなんじゃない……!
わたし、知ってるもん…
昔から、わたしを大切に守ってくれていた…
わたしが鍵だったからかもしれない…だけど……!
だけど、わたしは……嬉しかったんだ…」

「…ユウリ……」


「トウヤ!」

「アデクさん、チェレン…!」

「ゲーチス、来い!」

「は、離しなさい…!」



「ユウリ、キミに話したいことがある…」

「はい…」


「キミと初めて出会った城での事だ…
キミのポケモンから聞こえてきた声がボクには衝撃だった…」

「…え?」

「なぜならあのポケモンは
キミの事をスキと言っていた…
一緒にいたい、といっていたから

ボクには理解出来なかった
世界に人の事を好きなポケモンが居るなんて、
それまでボクはそんなポケモンを知らなかったからね…

だからキミと居たかった。

そして、トウヤとキミを重ね合わせて居たのかもしれない。
彼のポケモンも、彼をスキと言っていたから……

ボクは旅を続けるたび、心が揺らいでいった…
だって心を通いあわせ助けあうポケモンと人ばかりだったから

だからこそ自分が信じていたものがなにか確かめるためにトウヤと戦いたい、同じ英雄として向き合いたい
そう願ったが…

ポケモンのことしか、
いや、そのポケモンのことすら理解してなかったボクが…

多くのポケモンと出会い、仲間に囲まれていたトウヤに敵うはずがなかった…」


「知ってたよ、」

「……?」

「全部、分かってた。」

「キミはすごいね…」

「…N様、あなたは…」

「ゲーチスが人質にしていたポケモン、返すよ」

「……あなたが持って…」

「すまなかった」

「……。」

「トウヤ!」

「!?」

「キミには夢があるといった。
キミはその夢を叶えろ!
トウヤ、キミならできる!」

「…ああ」

「…そしてユウリの事を、守ってくれ…」

「…N……」





「そして…ユウリ!」


「キミに会えて、良かった…」

「N…さま………?」

「それじゃ」

「ヤダ…行かないでよ………!」


「 、 。」





「…………!」



「サヨナラ」



わたしの時間が
止まった気がした












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