願い



「これで王様の願いも叶わなくなるのか…」

「大丈夫ですか?王様に忠誠を誓った大切な仲間よ」

「七賢人様!せっかく手に入れたホネをみすみす奪われるとは無念です」

「…アスラか……」

「いいのです。ドラゴンのホネですが今回は諦めましょう。調査の結果我々プラズマ団が探し求めていれ伝説のポケモンと無関係でしたから。ですが我々への妨害は見逃せません…二度とジャマだて出来ないよう痛い目にあってもらいましょう」

「あぁ、よかった…!むしポケモンが騒ぐから来たらなんか偉そうな人居るし、君も知らない子と一緒だし…。さっき僕が倒しちゃった仲間を助けに来たの?」

「トウヤ!アーティ!…この子は……。まぁいい。ほかの連中はなんにも持ってなくってさ…でなんだい、こいつが親玉かい?」

「違う。こいつはプラズマ団七賢人の1人、アスラ」

「なぜわたしの名前を…」

「こいつと同じ七賢人のゲーチスは言葉を使いポケモンを解き放とうとしている…」

「……貴様、一体……」

「残りの七賢人は仲間に命じて実力でポケモンを奪い取らせる、だろ?」

「…えぇ。あなたが誰かは存じませんが、これはちと分がわるいですな。むしポケモン使いのアーティにノーマルポケモン使いのアロエ…適を知り、己を知れば百戦して危うからず…ここは素直に引きましょう。ですが我々はポケモンを解放するためトレーナーからポケモンを奪う…!ジムリーダーといえどこれ以上の妨害は許しませんよ
いずれ決着をつけるでしょう…
ではその時をお楽しみに
そしてこちらには王様とユウリ様が居ることも、忘れずに」


「素早い連中だね」

「追い掛けますか?」

「いやぁ…盗まれたホネは取り返したし、あんま追い詰めると何しでかすかわかんないからねー。じゃあねえさん、僕は戻りますから」


「トウヤくん、ヒウンジムで君の挑戦を待ってるよ。」

「トウヤ!…と、そこのアンタ!アンタたちの持っているそれが必死になって取り返してくれたドラゴンのホネなんだね…」

「アロエさん、どうぞ」

「本当にありがとよ。」

「ちなみにこいつはユウリです」

「…ユウリ……?さっきのやつが言ってたかい…?」

「そうです。プラズマ団に両親を人質に取られ、強制入団させられたんです」

「だからわたし…」

「アンタたちのように優しいトレーナーなら一緒にいるポケモンも幸せだね。」

「責めないんですか…わたし、プラズマ団なのに…」

「なんで責めるんだい?…アンタは必死でドラゴンのホネを取り返してくれた、トウヤと一緒にさ」
「………」

「アンタはあいつらとは違う。優しいトレーナーさ」

「…ありがとうございます………」

「じゃああたしゃ博物館に戻るよ。気をつけな」

「はい」


なんだろ、この気持ち
初めての気持ち…

「…わたし、」

「よかったな」

「うん」

「…………」

「今まではプラズマ団ってだけでみんな一緒に見られてたから…。
一人の人間として見てくれたの、久しぶりだ」

「俺は見てたけど?」

「…………。」

「俺だけじゃない。トウコもチェレンもベルも…ユウリに助けられたみんな、お前はプラズマ団とは違うって分かってるよ」

「…トウヤ」

「ユウリにあえてよかった」

「わたしも…だけどもっと欲を言うなら、プラズマ団としてじゃなく、普通のトレーナーとして、会いたかったなー」

「ははは、まぁそれもそうだな」

「じゃあ、トウヤ。」

「あぁ」

「またね!」

「じゃあな」


「…キミと一緒に、旅したかったよ。トウヤ」



ねぇ、お父さん、お母さん。
わたしは昔あなた達をうらみました。
どうしてゲーチスなんかに人質にされたのって
だけど、今は助けたいと思ってるし、少し、ほんの少しだけど
わたしがプラズマ団だったからトウヤ達に会えたのかも、って思ってる。


ねぇ、お父さん、お母さん。
少しだけ、わがまま言っていいですか?
…少しだけ、わたしを変えてくれた彼と…トウヤと、旅をさせてくれますか?



「なーんてね。」



分かってるよ。無理だって
だけど、わたしは…




願い


(君と旅がしてみたいんだ)





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