1 「シルヴィア?」 よく響く低い声が呼んでいる。誰だったっけ。知っているような、知らないような… 「…ィ…、……シルヴィア。」 ベッドに埋まった幼い少女が淡い栗色の睫毛をピクリと動かした。 「ん……マンマ…??」 「おはよう、シルヴィア。」 少女よりも幾分か色の薄く長い髪をした女性がベッドに腰を下ろしす。 「おはよう…??どうしたの?」 シルヴィアは目を眠たそうにこすりながら起き上がった。 「あのなぁ、急なんだけど…明日からお前と一緒に暮らす事になったんだぁ」 「ホントッ!?」 シルヴィアは家庭の事情により2歳の時に母親と別れて以来、ボンゴレの経営する修道院の孤児達と共に暮らしていた。時折会いにくる大好きな母親や、優しい祖父、共に過ごす友達、それに色々教えてくれる先生に囲まれて寂しいと感じることはあまりなかった。 しかし疑問に思うときもあった。母親がいて祖父もいて、会ったことはないが父親だって健在だと聞いているのになぜ自分はここにいるのか、聞いても周りの大人は「ここにいたほうが安全」としか言わない。 だがようやく、一緒に暮らせるというのだ。 「嬉しいっ!パパンも一緒なの!?………マンマ…?」 「え……あ、あぁ。一緒だぁ。」 喜ぶシルヴィアをよそに、スクアーロは曇った表情をしていたがすぐに娘に微笑んだ。 (大丈夫……きっと…) [mokuji] [しおりを挟む] TOP |