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ボスは目が悪い。



あいつはなんか色々ズルいんだ。浅黒い肌に忌まわしい凍結の傷がワイルドでセクシーさを強調している。背も高く、分厚い唇、がっしりした体。
イタリア男という風貌だが、黒髪から覗く彼のより際立った瞳は見るものを誘惑するかのように輝く深紅の宝石・ルビーの色。

その薄い光彩のせいで太陽光が眩しいらしく、昼間は薄暗い部屋で仕事をしている。
(そのせいで余計に弱くなるんじゃねぇかぁ?)



「またそんなしかめっ面してたら眉間の皺とれなくなるぞぉ?」

書面を睨みつけるかのように凝視する男の眉間に右手の人差し指を軽く押し付けた。

「るせぇ」

パシッと音がして手を払いのけられた。まぁ、そうなることはわかっていたので右手にしたのだが。

(叩いたらボスが痛ぇもんなぁ…義手は。)


「あ。ボス、ここチェック漏れの誤字があるぜぇ…?」

さっきまでザンザスがチェックしていた書類を確認すると、彼には珍しいミスがあった。

「貸せ。……どこだ?」
スクアーロの手から書類をひったくって目を通す。
「ここだぁ。」
指をさすと先程まであてなく文章を追っていた紅い目がスクアーロの指の先に止まる。

「チッ」


(あぁ……また眉間に皺よってるぞぉ…しかも机に顔近いし。姿勢悪く……)
舌打ちをし、苛立ち始めたザンザスを見ていたスクアーロはそこで思考を止め、先程から気になっていたことを口に出した。

「なぁ、もしかしてお前かなり目、悪くなってねぇかぁ?」




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