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「自分の影響力を知ってるか?」


「影響力?んなもん…」


『俺が言った言葉に逆らうヤツはいねぇ』、そう言おうとしてやっと気が付いた。


(馬鹿か、俺はっ!)



はっとして視線を落とすと、スクアーロは不安げにザンザスを見つめていた。いつか見た、その表情には確かに覚えがある。




「迷うな」




コルニオーラが何もかも見通したように、強い口調で言う。








「スク…」
「俺、怖いんだぁ」


「?」



「お前が、…ジジィに凍らされた時に色々後悔して、毎日毎日お前の事を考えてたんだぁ」


ザンザスの脳裏に蘇る苦い記憶は首筋の産毛がゾワッとする程に思い出したくない屈辱の出来事だった。



(そう、俺は自分の事でいっぱいで側にいたコイツのことなんて気にしていなかった)


「そしたら、忠誠なのか執念なのか…愛なのかわかんなくなっちまって」









「愛だ、ドカス」


「!?」


ザンザスの言葉はスクアーロの耳に熱を伴ってはっきりと届いたはずなのに、その意味を脳が理解するまで時間を要した。


「少なくとも俺はテメェを愛してる」


「ザン…ザス…っ、」



ギュウッと抱き締めるザンザスの腕の力が強く、言葉に詰まったのはそのせいにした。


(愛してる?……ザンザスが、俺をっ…!)



「忘れてた、だけだ」



キラキラと日差しに光る短く跳ねた銀髪は今はすっかり長くなってしっとりと輝く。




「…んだよ、締まんねぇヤツだな!」


コルニオーラが大きくため息をついて立ち上がる。藍色と紫色の光が泡のように吹き上がりコルニオーラの体を溶かした。


「まぁ、ソイツ大事にしねぇならいつでも俺が奪うからな」



「コルニオーラっ!」
「…」



「上等だ」




ザンザスはそう呟くと腕の中の銀色にキスを落とした。











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