小説 | ナノ







空はふわりと雲を浮かべて至ってのどかで、ここは神聖なる学舎で…
しかし、悩める少女・スクアーロの心中は穏やかではない。


「くそっ…へなちょこのヤツ、なんなんだ。」


ゴロンと寝っ転がって空を仰ぎながら一人ごちた。



(さっき睨んでたよな……ザンザス、……見てたこと怒ってんのかな…)


そんなことも考えたが、ブンブンと頭を振って眉根を寄せた。

「いや、そんなことより!!明日だ明日!……どうすんだぁ…」


ルッスーリアの言う通りに自分から誘うのか、はたまたいつも通りされるがままになるのか…。
スクアーロの中には『出向かない』という選択肢は無いようで、少なくとも嫌々ではないことをルッスーリアも承知していた。



(…俺から……)



(でも、…誘うって具体的にどうしたらいいんだぁ?)




流されやすいスクアーロは既に前向きに考え始めていることに気付いておらず。


(う゛ぉ…眠ぃ……)



ずっと男子として生きてきて、学校にもそれで通っている為か危機感のないスクアーロはしょっちゅうここで眠ってしまう。


(誰も来ねえだろうし、考えても分かんねえし……寝よ……もうなるようになれ)


目を瞑ると、暖かな陽気にすぐに意識を手放した。











教室にスクアーロがいない時には、大抵帰ったか屋上にいる。
まだ午前中だし天気も良いからどうせ屋上だろうと思ったザンザスは屋上に向かい、その扉に手をかけた。




「スクアーロ?」




しかしそこにスクアーロの姿はなかった。


「チッ…帰ったのか?」




そうつぶやいた時、丁度携帯電話が鳴った。




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