42 嬉しいような虚しいような複雑な気持ちになり、ザンザスから目を背けた。 「俺はっ…お前にはちゃんとした嫁貰って幸せになって貰いたいって…!」 「…おい」 ザンザスが立ち上がり、スクアーロとの距離を縮めた。 「良いとこのお嬢さんとか選び放題だろ?だからよ、考え直せっ…」 「スクアーロ」 「っ…」 スクアーロの見かけより細く震える肩を掴み顔をむき直させると、キラキラと光る目尻を拭った。 「俺は、お前とじゃなけりゃ家族なんて要らねえ」 「…ザンザス」 「勘違いすんな。…一度しか言わねえからな。お前は家族が欲しいわけじゃねえ、テメェとテメェのガキと本物の家族になりてえんだ。」 とうとう堪えきれず涙を零したスクアーロを胸に引き寄せ、軽くポンポンと後頭部に手をやった。 「っ…ごめん……ザンザス…俺、また…」 「ふんっ…ドカス…」 今晩はクリスマスパーティーの予定だったが、パーティーは急遽結婚&妊娠のお祝いへと変わった。 「まあっオメデタなのねっ」 「やっと結婚かよ〜。」 「ムムッ…これは株価が動くぞっ」 「ボスッ!おめでとうございますっ!!」 「ママン、私兄弟できるの??」 テーブルを囲む面々はざわざわと浮き足立って主役の2人を祝福した。 「ああ、ありがとうなぁ…みんな」 ―ママンは、初めてみるくらい嬉しそうにしていました。 私も、とても素敵なクリスマスプレゼントを貰ったようで、とても幸せ! その夜、赤ちゃんの夢を見ました。その赤ちゃんは真っ黒な髪の毛で蒼い目の女の子。 とてもパパンに似ていて、きっとこの子がママンのお腹の中にいるのねって言ったら、パパンが『そうかもな』と言ったので、赤ちゃんに会える日が楽しみです。 完 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |