33 翌朝にはシルヴィアの熱も下がりすっかり元気になっていた。 部屋へ迎えに来たスクアーロに手を引かれながら昼間でも薄暗い館の中を進んでいると、急に眩しい場所に出て思わず目を細めた。 「「おかえり!シルヴィア!」」 「!」 光に慣れた時、目に飛び込んできたのは一面を赤いバラと白いバラに飾られた庭と真っ白なガーデンテーブル、それを埋め尽くすたくさんの料理やドルチェ。それから 「覚えてるかしら?シルちゃん」 ルッスがニッコリと笑いかけた。 「忘れてるワケねーって。なぁ、シル。こっち座れよ」 ベルが手招きしている。 「今日はキミのおかえりパーティーだよ。早く座りなよ」 マーモンがグラスを差し出した。 「どうぞ。」 レヴィが椅子を引く。 スクアーロが手を解いて背中をトンッと押した。 「…うん…覚えてるよっ……みんな、…ありがとう」 シルヴィアの真っ白い頬が薔薇色に染まった。 (私、ここに居てもいいのね) 「…お前も降りて来いよ。」 開け放たれた戸口に立ちスクアーロは部屋の主に言った。 「…」 ザンザスは窓辺に立ち、執務室からガーデンパーティーを眺めていた。 「アイツ…シルヴィアは俺の事を怖がっているだろう」 ザンザスはそう言って視線をスクアーロに向ける。 「そぉかぁ?…もしそうだとしても、お互いよく知らないんだから仕方ねぇぞぉ。それにまだ会話してないんだろぉ?」 「あぁ。そうか…」 思い至るより先に、スクアーロの手がザンザスの手を掴んだ。 「ホラ、下行くぞぉっ!!」 「るせぇ、カス。引っ張んな」 少しして2人が仲良く手を繋いで庭に現れると、ちょっとした騒ぎになったのは言うまでもない。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |