VeryEasy Q



「さて柳生君、急ですがここでクイズです。」
「…はい?」


暑い日差しの中でのキツイ練習をそこそこにこなし、タオルで汗を拭うジェントルマンにいきなり話しかける。
帽子着用でノースリーブ、片手にペットボトルと傍らにお弁当と一応タオル。ベンチに座り日陰で終わりを待つ俺は汗を全くかいていない。涼しい場所にいるし動いてないし。さっきまで丸井とアイス食べてたし。

まぁまぁ此処に座りなさいとベンチを叩けば、首を傾げながらも「失礼します」と座ってくれる。背筋をピン、と伸ばした柳生はいつでもジェントルマン、優しく笑って俺の頭を撫でた。


「慎君…暇を持て余しているのですね。」
「うん。暇。」
「それは気付かなくて申し訳ありません。」
「べっつにー。」


練習を見ているのは楽しいよ。そう呟けば軽い笑い声が風に乗って俺の元へ振ってきた。優しいジェントルマンはお見通しだ、俺が飽きっぽい事、構われないと拗ねる事、柳生しか見ていないから話しかけたくてずっとウズウズしていた事。

でもそれって俺の我儘。
それで柳生を困らせてしまうのならば、俺はお口のチャックを閉じてベンチの一部になるよ。


「…そんなことよりクイズ、ね。」
「はい、なんでしょう?」


伸ばしている背筋をわざわざ曲げて。
俺の顔を覗き込む優しい笑顔、口元を上げて眼鏡を押し上げる仕草、レンズの奥の滅多に見ない瞳、今それらすべてが俺の方を向いている。
何処までも俺を甘やかしてくれる柳生だからこそ、強がってしまいたくなる。俺だって柳生に甘えてほしいし甘やかしてみたいのに。その綺麗に整った髪をぐしゃぐしゃになるまで撫でてみたいのに。

本当はクイズなんかなにも用意していない。ついつい、構ってほしく出てしまった言葉なのだ。
それでも俺の甘やかしたいという思いは1つ提案してきた。


「正解したら、」
「はい。」
「…柳生を甘やかしてあげる。」
「…それはそれは。」


日陰が少し寒い、そう言うことにしようと思う。ノースリーブから出ている腕を柳生の腕に寄せた。
触れ合った腕に「冷えてますね」と驚きながら柳生の方からも体を寄せてくれて、あぁもうそのまま全身を柳生の方へ傾けてしまいたい。そして瞬間接着剤で離れないようにくっついてしまえたら、なんちゃって。

それほどまでに好きなのだ、きっとこれは俺だけじゃないはず。

ね、柳生。


「俺が此処にいるのは、何故でしょう?」




VeryEasy Q




柳生が俺の体を抱きしめた。
甘やかすはずなのに、なんで俺が抱きしめられているのだろう。

そう問えば、


「私なりに甘えてますよ?」


腕の中に慎君を閉じ込めさせてもらう、という甘え方です。

優しすぎたクイズ大会は、一問だけで終了してしまった。


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やーぎゅ。
眼鏡の下はただのイケメン。
お前の眼鏡割ったろか…。


2013,06,21

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