白石とコタツとXmas



なんていうか今の季節はいたるところがピカピカしていて嫌になる。別に俺は非リア充ってわけじゃない。知ってる?リア充って別に恋人いる人のことだけじゃなくて、リアル充実、つまり充実した良い生活を送れていれば当てはまるんだぜ。
どうでもいいことは置いといて、そういうわけで俺の目が疲れているんだよ。もうイルミネーションとかどうでもいいです。


「これでもクリスマスデートになるんやろうか。」
「なる。」


俺の家はいいぞ、クリスマスツリー置いてない。
というのもお爺ちゃんが仏教徒でクリスマス嫌いなんだよ。はい、理由そんだけ。なにせ年末になったらお年玉を俺に渡すために来てくれるんだけど、いつだったかツリーしまい忘れたことあってショック受けて帰った過去があるんだよ。
なので我が家はツリーを廃止しました、代わりに暖かなコタツを置いている。

でも今日はクリスマス。白石を招いた今日の晩飯は鍋でした。正統派なことに寄せ鍋だった、家族団欒+白石…一応俺と白石って付き合っている、と思われる。
現在22時、泊まることにもなった白石と俺はコタツでバラエティなんぞ見ながらそれらしい雰囲気一切ない会話。コタツだからしょうがないな。

しっかし…母親も父親も俺が友達を連れてくるなんてそうそうないことだから喜んでくれた。しかも俺たちにプレゼントまで用意しちゃったよ。


「ちゅーか、ほんまにコレもらってええのかな?」


俺なんもしてへんねんけど、と白石は先ほど母親からもらった白と緑の毛糸の帽子を俺にかぶせてくる。一回写メ見せただけなのに…なんで白石に似合う帽子を選ぶんだろう。母親怖い。
…いや、先に寝てしまった二人には文句など言うべきじゃないよな、こうやってかまってもらえるだけ良いよ。

白石にかぶせられた帽子を取って、薄い色した髪を撫でつけてからやり返す。白石に選んだだけあってよく似合っている。ってことは…


「お揃いが嫌なら、もらってやるけど。」
「いやむしろ嬉しいねんけど、俺は慎のお父さんお母さんに何も用意してへんやん。」


俺にも送られた帽子は俺に似合ってしまうのだろう。

ワハハ、テレビから湧き上がる笑い声。寝ちゃった父親と母親に遠慮して音量はいつもの半分以下、それがなんとなく秘密の匂い。
白石のとは色違いで黒と赤の毛糸の帽子、似合っている白石を見ていると不思議なことにかぶってみたくなる。もらった時は似合うかどうか不安だったからかぶらなかったけれど。
膝の上に置いていたお揃いの帽子、髪の毛を一応整えてからかぶってみる。帽子とかあんまりしないからなぁ…っていうかさっきさりげなく俺の親を「お父さんお母さん」って呼びやがったな。
油断も隙もないちゃっかり者のことは置いといて、耳が隠れる程度に深めにかぶって白石を見れば、プッと小さく笑われた。


「…両方ともお前にやろうか?」
「や、ちゃうねんちゃうねん。似合うとるよ。」


しってる。だがイケメンが非イケメンを見て笑うのはいじめです。

ついコタツの中で足を蹴ってやれば「せやからちゃうって」と引かない笑みのまま、帽子からはみ出ている俺の前髪を寄せる。額を少し出される、いつもは隠している額。
テレビで流しっぱなしのバラエティのことなんかもう眼中になかった、明るくなった視界で一生懸命捉えるのは、


「この方が可愛えよ。」


色違いの帽子をかぶる煌びやかな彼。
良く見る笑顔はいつだって周りに無償で振りまかれるものだから、こいつはイエス・キリストなんじゃないかと疑ったことがある。
イルミネーションを体に巻いているわけでも、背負っているわけでもないんだ。それなのになぜかその姿が光り輝いているように見えた。
本当にイエス・キリストだったか?それともアレか?髪色が電気にあたって…いや帽子かぶっているから違う。じゃ、やっぱりそうなのか?


「あかんわ、慎のこと好きすぎて眩しいねんけど。」
「まぶしい?」
「おん。好きな人は光り輝いて見えんねん。」


うちにクリスマスツリーはありませんが、代わりになりそうな奴ならここにいる。しかも年中光っているかもしれない。
無駄で派手なイルミネーションは好きじゃない、目が痛いから。だけれども目の前にいる存在の光なら、俺は受け止められる…いや今以上を強請ってしまいそうだ。周りになんて振りまかないで。

色違いの帽子を撫でた、緑と白のコントラストがいかにもクリスマス。俺の帽子も合わせたら余計にクリスマス。きっとこの帽子を持っている間、今日という日を忘れることはできないのだ。それはこの男も同じなんだ。
そう思うと…無性に傍に居たくなった。許されるだろうか、この輝きを求めること。
体を一つ二つ、寄せてみる。帽子を撫でていた手はいつの間にか白石の腕をつかんでいた、嫌がられてしまったら…なんて言葉は無意味と言いたげな笑顔はどこまでも愛しんでくれる。

好きになってくれて、ありがとう。


「プレゼント、まだ渡してへんかったな。」
「あ。よこせ。」
「慎…そこは、ちょーだい。やろ。」
「くれ。」
「照れてるん?」


クリスマスに生まれた。光を受けて輝くガラス玉みたいな恋心。




この胸に眠る
電球を光らせておくれ




コタツで寝たらだめよって小さいころ良く母親に言われた。
でも暖かなコタツに入っていると心地良いんだ、それに寒くない。
ぎゅって抱きしめてくれる人がいると暖かさが倍増する。だから俺も一生懸命抱きしめ返す、同じ幸せの中にいてほしいから。それに帽子もかぶっているから防寒はばっちりだ……って言いたかったんだけど。

首元に揺れるネックレスの細く儚げな鎖は少しばかり冷たくて、ここに俺は居るんだぞって主張してきて仕方ない。


「ええなぁ、こない不思議なクリスマスも。」
「眠いから黙ってろ。」
「…慎からプレゼントもらってへんねんけど。」
「気のせい。」


それは俺を抱きしめる男も同じだから、いいんだ。
白石の綺麗な鎖骨でさらりと揺れるネックレスの音を子守唄にそっと閉じた瞼。あぁサンタが乗っているソリの鈴の音のようだ。


「蔵、おやすみ。」



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コタツでほのぼの
するのは
正義だと思います

薙様
こんな感じになっちゃいましたが
大丈夫でしょうか?(´`)
もしも何かありましたら
直してほしいところありましたら
申してください、喜んで直します!

リクエスト
本当にありがとうございました!


2014,12,17


(  Season next)


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