Friend



格好よくてオシャレで生意気でお茶目で可愛くて怖い後輩。
いつも両耳イヤホンでふさいでいる後輩、眠たげな瞳で睨みつけてくる後輩。

俺は悲しい恋をした、なんていうことだ。
生まれ持って男の俺と同じく生まれ持って男の後輩こと財前光。
察しがいい人ならわかるだろ?そうですよ、同性に恋しちゃったんだよ俺は。最近は外国とかで認められつつ同性婚、でも日本はまだまだだよ。

きっと打ち明けても迷惑なだけの恋なんだ。だったら諦めておこうとは思う。日の当たらない恋がここにはあるんだな。
友達のままでいい、そうやって思うけれどやっぱ寂しい。恋心に黄色と黒の縞々テープで『立ち入り禁止』したって人間は、そういうものに触れてしまいたくなる性なのさ。それこそ、わがまま。


「財前、どの子がいいと思う?」
「…アイドルっすか。」
「謙也の一押しは胸でかいこの子。」


せめてタイプくらい知りたいじゃん?
どうせ叶わぬ恋、でも今の人生を無駄にする気はない。もしかしたら願いをかなえてくれるっていう妖精と出会うかもじゃん?そうなったら俺はお願いするんだ。

『財前好みの女の子にしてください』って。

今日たまたまアイドルの話をしていた、謙也から雑誌借りてきて財前に見せる。水着だったりひらひらワンピースだったり、ショートカットだったり金髪だったり、俺たちと同い年だったりお姉さまって呼びたくなる年上だったり。
多種多様、さまざまご用意しております。

ペラペラ、ページをめくる財前の顔はいつも通り眠たげでやる気なさげ。これから部活だっていうのにな。


「これといってタイプとかないっすわ…。」
「えー性格派か?」


優等生な回答は求めていないんだよ、馬鹿野郎。
雑誌には20人くらいのアイドルが載っているのに…いないわけないだろ男だし。下品なこと言うけれど男っていうやつは好きな顔ってやつがある、抱きたいとかそういう点でね。
正直、男の恋愛感情は女とは違う。女は一つを求めるが、男は数多を求める。それは本能的なものだからしょうがないんだよ。
だから好き嫌いはあるはず、だれでもいいなんて嘘。性格さえよければなんて、うそ。


「まぁ……しいて言うならこれっすかね。」


やっぱあんじゃねーかよ!


「どれ!?」
「なにがっついてんすか。」
「あのクールな財前が好きっていう子が気になる。」


アイドルのことをこれっていうのはどうかと思うけれど、この際どうでもいい。これで好みさえ知れれば俺があとやることは妖精探しだけだ。
返された雑誌を受け取って開きっぱなしのページを見れば、黒髪ショートカットのやんちゃ系女の子が笑顔でポーズを決めていた。…予想と違う…清楚系を選んでくるんだろうなと思っていた。
いやでも黒髪ショートカットなら今の俺でもいけ…ないです済みませんちょっと馬鹿言いました。

なるほどなるほど、と女の子の髪型や顔、華奢なネックレスが似合う首元なんかを覚える。ちゃんと覚えて、いざというとき、俺はこの子そっくりにならないと。

おかしいと誰かに殴られたい気もするんだ、こんな恋。
でもそれしか方法がないんだからしょうがない、財前のことが好きだ。心臓の鼓動が早まりすぎてオーバーヒートしてしまいそうなほどに好きで好きで好きで愛しているんだ。


「そのアイドル。」
「ん?あー名前はね…」
「慎先輩によう似とります。」


どうせ叶わぬ恋ならば、友達のままでいいんだ。俺が女の子になればいいんだから。


「…じょーだん。」


どうか叶わぬ恋ならば、友達のままでいさせてください。俺が変な期待を抱いてしまうから。




Friend




俺が女やったら。

馬鹿なこと考えたこと、腐らすほどある。けど結局はその考えが無意味やと知る。
やって目の前の人は男の俺の言葉を聞いて、男やのに顔を赤くさせてくれはるから。

そばに居られるんやったら、永遠に友達のままでええとか…甘え。


「慎先輩はどのアイドルがええんですか?」
「…運動神経よさそうな、この子。」
「うわ生意気そうな顔。」
「お前が言うか。」


日の当たらん恋ってなんなん?それって自分に自信がないからとちゃう?通じへんわけない、通じさせたる。


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ある曲聞いて
書いただけ
あとちょっとした
リハビリ…あふん
さばだばだ、さばだばだ


2014,12,08


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