Memo

◇ しーん。


立海幼稚園,4


「あめー!やめー!」

「やむんだよーぃ!」

「こらこら、赤也くんブン太くん。どこぞの民族儀式みたいに窓にへばりつくのはやめなさい。せっかく綺麗に拭いた窓ガラスに手垢がつくじゃないか。」

「だってあめばっかふってつまんねーんだよーぅ!」

「ぶんたくん、せんせいをこまらせちゃだめですよ…。」

「あめなんかいなくなっちまえー!」

「そんなこと言う悪い子は水不足に悩み干からびてしまえ。…そうだなー、じゃテルテル坊主でも作ってみようか?」

「てるてるぼうずならいるじゃん。」

「あかや!おれをゆびさすな!」

「じゃっかるであめがやむかくりつ…」

「ねぇよ!」

「ひまじゃしのー、つくってみるのもええかもしれんのー。」

「ティッシュを茶色に染めるのはやめてもらえるかな?ジャッカル君が泣いたら慰めるのは先生なんだよ?終いには雅治君も泣かせるからね。」

「ぷりっ。」

「しょーがねーから、てるてるぼうずつくってみるか。それでやんだららっきーだろぃ。」

「おれもやろうかな。さなだもやなぎもやるだろう?」

「うむ…しかし、こういうこまかいのはにがてで…。」

「げんいちろう…あたまがまるくなってないぞ。」

「せんせいできました、てるてるぼうず。」

「おー、比呂士君は空気読むいい子に育ちそうだね。でもその空気読みスキルは時に自分の身を亡ぼすものだからそこそこでいいんだよ、この間先生は空気読みすぎて飲み会で他の先生たちの期待を受けついに園長先生のヅラとっちゃったよ。」

「え!?えんちょーせんせいってヅラなのかよぃ!?じゃっかるとどっちがぴっかぴか!?」

「おれとくらべるなよ!!」

「園長先生の勝ちだね、なにせ年季が違うよね。わざと無くしているわけじゃないから…輝きが違ったね。」

「おれもとってみたいな。せんせい、いいかな?」

「精市君、それは俺が怒られるからやめてもらってもいいかな?わりとリアルに本気で辞めなきゃいけなくなるから。大人ってそういう感じなんだよ。」

「きれーにまるくつくれたんじゃが…それをきくとえんちょうせんせいにしかみえなくなってしもうたの。」

「わ!めがねかいたらよけいにえんちょーせんせいになっちまった!やっべー!」

「えんちょーせんせいいっぱいだろぃ!」

「…とりあえず、飾ってみるか。そして雨がやみますようにってみんなでテルテル坊主にお願いしてみよう。これで晴れたら園長先生様様だ。」


「「「はれますよーに!!」」」





「最近、子供たちが私を見て晴れますようにってお願いしてくるんだけど…なにか知らんかね?」

「サァー?ナンデデショウネー?」


翌日、雨が止んだので皆で園長先生の似顔絵を描くことになりました。
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