小咄 | ナノ



目が覚めた。でも瞼は閉じたまま。なんだか体が重い、どうしてだろう。もしかして金縛り…!私は思わず目を見開いた。

どアップのミッくんの顔。

声にならない叫び声をあげて頭をのけぞらせるとごちんと後頭部を壁にぶつけた。波紋のように広がるじわじわした痛み。涙目で頭をさすりながらもミッくんを盗み見る。体が重かった理由はミッくんの足が私の腹に乗ってたからだった。それにしてもすうすう寝ているミッくんはかなりイケメン度アップで、さらさらした髪の毛が頬を撫でてなんとも艶やか。

そういえば昨日私がミッくんにスマブラしようと頑張って提案して、夜中までしてたんだった。私ファルコンで頑張ってたのにミッくんのカービィが強くて強すぎて何回も挑戦してたんだった。それでそのまま一緒にベッドにバタンキュー。って、うわ、どうしよう。私寝ぼけてミッくんに何かしてないよね。とりあえず私のぶよぶよ腹に乗るミッくんの足を退かさないと。

私はミッくんの足に手を触れた。その途端ミッくんは小さく寝言を言い、むにゃと口を動かした。可愛い…私より数億倍可愛い。駄目だ、意識し始めたら眠たくなくなっちゃった。

私は普段まともに見れない分ミッくんの顔をじっと見つめた。駄目だ、やっぱりまともに見れない。私はくるりとミッくんに背中を向け体を猫のように丸めた。何が何でも二度寝しよう。まだ早い時間だろうし、このほとぼりも眠気と一緒に混ざり合ってさめるだろう。ぎゅっと瞼を閉じたと同時に、背中側から鼻で笑う音が聞こえた。


ふわふわ