小咄 | ナノ

目が覚めた。ただし瞼は閉じたままだ。自分のベッドで寝ているはずなのに何かが違う。隣から気配を感じる。俺は瞼をゆっくり上げ、視界がぼやけたままよくよく目を凝らした。ソーニャがだらしない姿で不っ細工な顔で寝ていた。ああそういえば昨晩2人でスマブラした後そのまま寝たんだった。ふがふが言いながら布団に顔を埋めるソーニャは犬みたいな猫みたいな、なにかの動物みたいだった。

俺はぱち、ぱち、と重い瞼をのしあげまばたきをした。つい癖でソーニャの顔をじっと見つめる。いや、癖とかそういう問題じゃないかもしれない。だってソーニャの顔は目と鼻の先。いつでも俺の腕の中に収めることができる。俺はのっそり腕を上げソーニャの萌黄色の髪をかきあげた。わたあめみたいにふわふわした。気持ちよかった。俺好みだ。

俺は口元にうっすら笑みを浮かべ、瞼を閉じた。まだ朝の7時ぐらいだろ。二度寝しよう。欠伸をした途端俺の腹に蹴りを入れるソーニャの足。こいつ起きたとき覚えとけよ。ソーニャの足をぺいっと退かし、俺は枕に顔を埋めた。


ふわふわ
(君の髪も俺の心も)