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少女は直感する(3/3)


「何これ」
「お前知らねーの?これはゲームボーイ。こっちはプレステ」
「なにそれ」

お風呂から上がって悟の部屋に遊びにいけば、小さな機械を渡された。
悟はいくつもの機械を持っているようで、床に黒い紐のようなものや四角い箱が散らばっている。
「ゲームだよゲーム。やってみればわかる」
「どうやるの?」
「自分で考えろ」
先程の優しさは幻かと思うほど、突き放すような言い方にむうと唇を尖らせて、機械に目を落とす。
白黒の画面がつくと、変なキャラクターが画面に映った。不気味だ。

数時間後、悟の真似をしながらピコピコしていると、だんだんと使い勝手がわかってきて、いろんなモンスターを捕まえた。
「見て!もこもこわんちゃんみたいで可愛い!」
「ロコンじゃん。進化させた方がつええよ」
「へえー」
そうなんだ。大切に育てよう。まず戦わせてレベルをあげなきゃ。
「悟はどれが好き?」
「ミュウツー」
ミュウツー?出会わなかったなあ。どこにいるんだろう。探してみよう。

「飽きたから寝る」
それからまた数時間、黙々とやり込んでいたが、悟は飽きてしまったようで布団に潜り込んだ。
「えーもう寝ちゃうの?ロコン全然進化しないしミュウツーいないよお」
「ロコンは炎の石持たせて、ミュウツーはハナダの洞窟行ってこい」
むにゃむにゃと眠気を纏った声で教えてくれたが、そんなに一気に色々言われてもわからない。
「ええー。悟も一緒にやってよお」
猫撫で声で甘えれば、もう眠いと今にも寝そうな声が返ってきた。
ぶうぶうと口で一通り非難したあと、とりあえずやってみようと私は気合いを入れ直して、またピコピコと操作を始めた。まずは持ち物を確認して…。
「あのさ」
「ん?」
「つまんなかったらゲームしにこいよ。」
「うん!毎日くる!」
「毎日はくんな。貸してやるから自分の家でやれ。それからもう一人で外出んな。」
布団で声がくぐもっていたが、はっきりと聞こえた言葉に私はパチくりと瞬きした。
もしかして、私が1人で外に行くことがないようにゲームを教えてくれたのかな。でも悟のことだし一緒に遊べそうなのが私しかいなかったからかな。
私にはそのどちらでもよかった。だって悟と遊べる口実が増えたし。
「わかった!ありがとう悟!」
「言うとおりにしねえと、またおやっさんに殴られるからな」
「うん!」
私は込み上げる嬉しさが抑えきれず、勢いよく布団の上から覆いかぶさった。
いつもは嫌がるのに悟は無反応だったから、どうやら眠ってしまったみたいだ。