(視点.暁月)








「せんせーきゅーかんでーす」
「あ?」
「嵐草薙くんが寝ました」
「出て行け」


 いやはや酷い目を見たもんだ。いきなり引きずり落としやがるもんな、コイツ。おかげさまで制服から何からびっしゃびしゃ。とりあえず寝る場所をと訪ねた保健室のセンセーには、思いっ切り煙たがられたがそんなこと気にせずベッドへ投げ込む。

「オイコラ」
「掃除も洗濯もしますから」

 棚から適当にタオルを引っ掴んで、わしわしとソイツの髪から服から拭っていく。こんなことされても起きねぇんだからコイツの神経の図太さも並じゃない。

「失礼します。すみません、先生。蓮先輩ってば少し常識が足りないみたいで、まあ今に始まったことじゃあないんですけど」
「まったくだな」

 …よく言うよ。授業さぼってこんなとこまで『監視』に来た生徒会長サマがさ。

『先輩が草薙に変なことしないか、見張っててあげるんです』
『いやそんな趣味ねぇし』

「それじゃあ先生、草薙をよろしくお願いします」
「勝手によろしくしてんな。ここは仮眠室でもなんでもねぇぞ」
「そんなこと言わないでくださいよ。では」
「おい」

 ピシャンと扉が閉まった。

「………」
「………」
「………せんせー」
「あ?」
「苺の飴あるんですけどー、食べます?」
「頂こう」



 コイツいつになったら起きっかなあ……まあ、いきなり蹴り飛ばしたもんだから印象は最悪だろうが。起きたら一発殴られるかもしれない。それとも口利いて貰えないかね。
 そしたら今度は喧嘩を売ってみようか。なんか、コイツ強そうだしー。

 とりあえず、

「………せんせー」
「今度はなんだ」
「患者、もう一人増えてもいいですかー?」
「ぁあ?」

 外で体育をやっているのだろうクラスを見た。


 …気温的に、耐えられんよなあ、アイツは。






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執筆.秋冬さま

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