(視点.草薙)









 あぁくそっ、うざってぇ。俺はなぁ……やられたらやり返す派なんだよ!

「うぉっ?!」

 涼しくなったろってじゃあアンタも涼しくしてやるよ。
 相変わらずケラケラ笑い続ける蓮暁月の足をガッチリ掴んで引きずり落とす。
 案の定、俺の行動が予想外だった奴は、地味な音とともに水の中へダイブ。ザマーミロ。

「ぷはっ、いきなり何すんの」
「アンタにだけは言われたくねぇぜぇ?」
「生意気後輩ー」
「うぜーです先輩ー」

 プっと吹き出して、また蓮暁月が笑う。よく笑う奴だな。それとも笑うふり? なんて考えたって、結局俺には何の関係もない。



「なぁにしてるんですか?」

 くだらない言い合いが小突き合いになり始めた時、第三者の声が乱入。そちらを向けば、長めの髪をひとつに括った眼鏡の"堅物"生徒会長、緋焔月城の姿。

「まだ開いてないはずのプールでエッチなことしようとしないで下さい、蓮先輩」
「いやいやいや。どう見てもエッチなことしてないでしょ、俺たち」
「アホなこと言ってんな……」
「だって草薙は可愛いから」
「可愛くねぇ」
「なに、知り合い?」
「……幼馴染み」

 なんか妙なことになってきたなぁ……てか、疲れた。

「…………眠い」
「は?」
「ちょっ、草薙?」

 あー……まだプールん中か。まぁ、このまま永遠の眠りについてもいいかな、なんて。
 一度眠いと思うともう瞼を開けていられない。
 意識とともに沈む体を、誰かに支えられた気がした。





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執筆.朔葵衣

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