わたしはどちらかといえばネガティブな方かもしれない。よく言えば年齢の割りに慎重とも言える。悪く言えば子供らしくなくて頭でっかち。話が通じないつまらない人間といったところだろうか。良い表現は全然浮かばないのに悪い表現はこんなにも浮かんでしまうし。

だから誰かと付き合うときも絶対に終わりを考えてしまう。この人はわたしのこういうところを好きだといってくれたけど、きっと好きだといった部分に一番最初に嫌気がさすのだろう。そして嫌なことばかり目について、最終的にわたしとの比重は釣りあわなくなって、すべてのバランスが崩れて壊れてしまう。それでも相手はきっと悪くない。だって最初にさした嫌気を覆せるほどの良い部分がわたしにないということなのだし。




俺はどちらかといえばポジティブな方だろう。よく言ってもポジティブだし悪く言ったら落ち着きが無くて能天気で自信家で自意識過剰の過信家でもあるもしれない。でもそれで悪いかどうかなんて俺自身だと思うから多分悪いところじゃない。
だから誰かと付き合うときも絶対に幸せにしてやろうって思うし、もちろん年齢的に結婚がどうだとかそんなこと全然わかんないけど、相手が好きだって思ってくれたり俺自身が好きだと思うことで始まるわけなんだからやっぱり嬉しくて楽しい関係が一番だと思う。そりゃー多少相手の時間を束縛するわけだから責任がないわけじゃないけど、俺だったら絶対に相手も楽しめると思うしね。




だからこの状況が理解できない。




「何がダメなの?」
「どこがいいの?」

「俺顔だっていいし付き合ったら絶対に楽しいし損はないと思うぜ」
「そうだよ丸井くんかっこいいし可愛いファンの子だっていっぱいいるじゃない。わたしなんかと付き合ったら丸井くんの評判が悪くなるよ、こんな暗いやつ」

「私なんかって言い方すんなよ。だいたい別に暗くないだろ、お前」
「丸井くんみたいな人がわたしなんて好きになるわけないじゃない、罰ゲームとしかおもえないよ」

「なんだよその言い方、そういうのって俺に対しても失礼だってわかんない?」
「ごめん、そんなつもりじゃないんだけど、でも、だって変だよ信じられないよ」


「みょうじはきっと俺のコト好きになるから付き合おう」
「ええ?何でそうなるの、変だよそんなの」
「俺はみょうじと付き合えたらきっとすっげー楽しいぜ」
「そんなの気のせいだよ」

「これから一緒に居れば半分になるよ」
「なにが?」
「みょうじのネガティブと俺のポジティブ」
「根拠がないよ」


このままじゃこのキャッチボールをあと5往復はしそうだ。

はあ、とどちらともなくため息をついて、顔を見合わせた。
あまりにもタイミングが同じで思わず噴出してしまう。
こんなにもお互いの考えは正反対なのに、たったこれだけのことでなんだか近くに感じられる。
もしかしたらこんな風にシンプルなものなのかもしれない。


「だって俺はみょうじが好きだし、俺が大丈夫つったら大丈夫なんだって」

「無根虚なのに大丈夫な気がしてしまうそのポジティブさがすこしだけ怖いよ」





「それではこれからよろしくお願いします」







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