掌の上に懇願のキス



後が怖い、と思いながら走って逃げた少女を追う。

「やっちゃった」
赤くなった手のひらを眺めながら、彼女はぽつりと呟く。
「まったく、驚いたぜ」
「真田は?」
「仁王が笑いながら“お前さんにも鉄拳制裁じゃの”とかフォローしてたな」
あとでありがとうを言わないと。と言うと、ゆるゆるとその場にしゃがみこんだ。
「寿命が縮んだぜ、正直」
「だってジャッカルがぶたれる意味なくない?悪いのは赤也じゃん」
ふてくされたような声には若干の戸惑いと罪悪感が混ざっている。
「そりゃそうだけどよ」
「ジャッカルは優しいしね、そこまで気にしてないの知ってるけどさ。でもさ、見てるこっちはなんとも言えないんだよ、いつも」
あー、とまとまらない感情を唇から垂れ流しながら頭を抱える彼女を見て、どこの国でも女は強いなと笑った。
「ありがとな」
しかしもう二度としないでくれよと心の中で切に願いながら、赤く熱を持つ掌に労るようにキスをした。



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