その他に狂気のキス



肋骨の上。心臓の上。乳房の下。耳の裏側。肩甲骨。腰。肩近くの腕の内側。普段は髪に隠れるうなじ。
そして今日は内腿。

どうしてそんな目立たないところにつけるのかと訊ねれば、「脱がせたときに見えるキスマークは扇情的だけど、他者からしたら大きな抑止にもなる」だそうだ。
「それに見える位置につけている女性ははしたないよ」
内腿をざらりとした粘膜がゆっくりとなぞり、私はひきつった喘ぎをこぼす。
ぞくりと背筋を走るものは快感というにはあまりにもグロテスクな気持ちよさだと思う。
「私の浮気前提の見方ね」と精市の細い髪を弄りながら放り投げた言葉に、綺麗な口許を歪ませ、精市は笑った。
一層のこと、めちゃくちゃでもいいからさっさと抱いてくれればいいのに。
増えていく斑点が青痣のように私を鈍く痛めつける。

「もっともっと、俺が欲しくてたまらなくならないと」




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