寒天模様(幸村)


昇降口を出た瞬間、ひやりとした外気が素肌を撫ぜる。寒さを確かめるように大袈裟に息を吐くと、白くかすんだ。下校時刻を回り生徒たちを吐き出す校門で、ひときわ際立った存在感を放つ人物に視線を奪われ立ち尽くした。そのふわりとした柔和な笑顔を見ているだけで、寒さで凍った心もゆるゆるとほどける様な、そんな暖かさを持ちながらも厳粛で清浄な、澄んだ冬の空気がとてもよく似合うひと。
ふるえる心臓から、ため息のように吐き出す声にもならない私の言葉は、とても湿っていて熱っぽく、届くこともないまま白く濁って灰色の空に溶けた。





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