詐欺師は詐欺で首を絞める
「すきなの」
はらはらと涙をこぼし、小さく震える彼女の手を握りながら、「うん」とだけ答えた。
「どうしよう」
死んでしまったら。
嗚咽交じりに口にすると、とめどなく涙が溢れてくる。「大丈夫」。握る手に力を込める。
「…俺が何て呼ばれてるか知ってるよね?」
完成形でないものを披露するのは美学に反する。
「神の子?」
「そう、神の子だ」
それでも、声色だけでも。と思ってしまった。
「だから大丈夫だよね。それとも、俺のことが信じられない?俺の「だいじょうぶ」は、君の心に届かないかな?」
「ほんとうにだいじょうぶ?」
「俺が嘘吐いたこと、ある?」
躊躇いもなく滑り落ちたこの言葉に、思わず口元が卑しく歪んだ。