大掃除にて

「やあああゴキブリ!」
「きえええええええ!」
私が悲鳴を上げるのとほぼ同時に、真田はどこからか取り出した木刀を振りかざし、私の足元を叩き付けた。
「なんだ、すでに死んでいるではないか」
そりゃ掃除用具の裏から出てきたゴキブリなんて、季節的にとっくの昔に干からびて死んでるに決まってるのに。
水を打ったようにしんとしたクラスメイトの視線を一身に浴びながら、そんなことなどまるで気にも止めずに大真面目に私の心配をする彼に、思わず声を上げて笑った。
「どうかしたのか?」と普段どおりの強面で問いかける真田は可愛いと心の底から思う。だって全く気付いてないんだ、この人。私がなんでこんなに楽しいのか。
どうだ見たか。わたしの彼氏はこんなにかっこいいんだぞ。

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