君の前では隙だらけ

放課後教室でひとつの机を共有するのは、それだけで特別な高揚感がある。友人曰く『隙ひとつない生徒会長』の国光は日直の仕事も隙がなく、私がやる前に全て終わらせてしまう。日誌もくせのある幼い私の字よりも国光の字の方がずっと大人ぽくて綺麗だからまかせっきりだ。また国光もそれを良しとしてくれる。私にだけはでろでろに甘いのだ、この男は。
「国光、眼鏡よごれてるよ」
「そうか、ありがとう」
「すきあり」
眼鏡を外した瞬間、身を乗り出して国光の唇に自分の其れをぶつける。きょとんとした表情を一瞬だけ見せるとすぐに元の清節を纏い、至極まじめに「どうしたんだ突然」と問いかける。
「んー国光はかっこかわいいなあと思って」
「そうか」
汚れなんて一切無い銀縁眼鏡のレンズを拭いながら、いつもどおり声色を変えずに言うけれど、ほんのりと口角が上がっていることを私は知っている。
眼鏡を外した国光の顔は年相応に幼いのをきっとみんな知らないだろう。もっとも教えてやる気もないけれど。

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