佐伯虎次郎

「俺たちが付きあってるってうわさあるらしいよ」
「なにそれどこ情報?」
それがほんとだったら幸せなのに。

「俺は剣太郎から聞いただけだから、あんまり詳しいことは分からないんだけど」
「じゃあ下級生のあいだでかな」
「俺たち、よく一緒に帰るしね」
「委員会があって、テニス部が休みで、佐伯がバネとかと放課後海で遊ばない日はね」
「学校がない日もよく一緒にいるじゃない」
「家が近いからコンビニで偶然遭遇して、そのままの流れで一緒にしゃべったりするだけじゃない」
「偶然か〜」
「偶然でしょ」
「運命的じゃない?」
「いや、確率の話でしょ」
「ふーん」
「佐伯のそういういかにも何か含んでます、みたいな笑い方いやだ〜」
それを受けて、佐伯はふふ。と、いかにも何か含んでいるように笑った。「人の気も知らないで」と言えたらいいのだけど。わたしはこっそりとふてくされる。

「ねぇ、海よっていかない?」
「いいけど、なんで」
「もうすぐ夕陽が沈むから」
「ロマンチック〜!」
「でしょ」

「だからさ、そのロマンチックな雰囲気の中で、好きって言わせてよ」
聞き流すほどさりげなく、佐伯は言葉にする。
あっけに取られるわたしに笑顔を振りまくと、佐伯はわたしの手をとった。
「行くよ」
「…いや、」
「嫌?」
「いや、あの…もう言ってる」
後半に行くにつれて弱気になっていく声が感情に素直すぎて恥ずかしかった。佐伯があまりにも得意な顔をしながら、真っ赤になっている私を見つめるので、文句の一つでも言ってやりたいのに。

「じゃあ、もう一回言うから、もう一回聞いて。それで一応、返事聞かせてよ」
「…一応ってなに!」





最初御幸でかんがえてた。六角通いたい。



2014/09/02 11:01 tennis


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