what would be, would be







日が昇ると街にやってくる。
日が暮れると海に帰っていく。
広場でごろごろして レンガ通りの道を張って、
お皿に顔を押し付けてごはんを食べて
夜にもなるとすっかり汚れてしまう
真っ白なのに真っ黒になったアザラシは、
海に帰って体を洗う






















夜の海は静かで好き。

真っ黒な空にぼっかり浮んでいる月の光が優しいし
波の音は子守唄みたいにあったかくて


白い砂浜を進むと亀と同じ様に道なりの跡が残る
最後の最後まで砂まみれになり汚れた体を潮水が洗い流してくれた
ベリオは波に逆らいながらたゆたい
やがて引き返す波に乗っかって海へと下る

少し泳いだところで、立ち泳ぎをして海面から顔を出した
今日のお月さまはまんまるい
ベリオはまだ体が小さくて、立ち泳ぎがうまくない
波にもまれてあっちこっちと流れてしまうので人になることにした
ひと波高いものに飲まれたあと、折り曲げた体を持ち上げ、しなやかな女の体を見せる
ちょうど足もついた だから今度は波に負けずに踏ん張れた

下半身だけを波に隠して、長い髪をなびかせて
眠たげな瞼を持ち上げて、空を見上げた
なんだか静かだなと思った
あざらしの時よりも人の耳はよく聞こえない
でもおっきい月はよく見えるようになった
背が高くなるから お月さまが近くなる
ベリオは漣の中でぼーっと月を眺めることにした

月はなんで金色なんだろう
まあるい月
月に聞いたら答えてくれるかな
でも月に声は届くのかな
いっぱいジャンプしたら月に届くかもしれない

水面に潜ってから
ぐーって
ぎゅーって
ばしゃって
ジャンプしたら月に乗っかることができるかな

ベリオは一歩踏み出して沖に向かった
深いところから 助走をつければ、きっとイルカみたいなジャンプができる
一歩、また一歩、沖へ、沖へ 

やがてとぷんと海の中へと潜り込んで、白くてふわふわのアザラシが顔を出す。
ぱしゃりぱしゃりと水面を叩く音が漣に紛れて消える。
疲れ切って夢の中へ



明日になったら お月さまの上に乗っかれるようになるかなぁ。



fin,


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ワンドロ作品「日常」でした。ベリオ側ですたす。
このあとにカイさんに拾っていただけるんだろうかなって…!
よろしくお願い致します。
2014.12.07 旧ブログ掲載済




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