「貴方って本当に変態ね。」

フェレス邸の建物は正十字学園の中でも最も高い位置にあり、そこから見る夜景はそれはそれは眺めが良い。そのフェレス邸のある屋根の一角に、私は何故か浴衣姿で立っていた。


「恋人に対して変態とは面白い事を仰いますねぇ。***さん。」

「何が恋人よ。常に私をからかって楽しんでるだけじゃない。」


同じく変な柄の浴衣姿で団扇を扇ぎながらニヤニヤと笑うこの建物の主、メフィストは、懐からハンカチーフを取り出し屋根へそっと広げると、どうぞとそこへ座るよう促した。


「心外ですねぇ。私は常に沢山の愛情を注いでいるのに。」


私の隣へ同じように座ると指をパチンと鳴らし、今度はどこからともなくティーセットがふわりふわりと目の前を漂っている。メフィストは二つのカップに紅茶を注ぐと一つを私に差し出して、もう一つを片手に優雅にお茶を楽しみ始めた。

こうやって何時も彼のペースに巻き込まれてしまう自分が悔しい。恋人同士になったのも、知らない内に彼が何時も側にいて、彼の手の中で踊らされ、知らない内に好きになっていた。
つくづく自分は馬鹿だと思う。けれど、さり気ない気遣いや優しさに、最後にはまぁいっかと思ってしまうのだから、恋は盲目なんて言葉は正しいのかもしれない。


「さて、そろそろかな?」


彼がとても良い香りの紅茶が入ったカップをふわふわと浮いている受け皿に置くと、正面に真っ直ぐと上がっていく光。それは直ぐに大きな音と共に大輪の花を咲かせていく。


「わぁー!!綺麗!」

「気に入りましたか?最近私が忙しくて構えなかったお詫びにと思ったのですが。」

「えっ?これメフィストがやったの?」

「えぇ☆貴方の為に。」


花火は次々と上がっては綺麗に散っていく。目の前に広がる光景に言葉すら出てこない。


「……やっぱり貴方って変ね。」

「おや、そこが好きなんでしょう?***…」


顔を覗きこまれて、顔を少しずらすと、長い指で顎を捕らえられ、クイッと彼の方を向かされる。


「…花火…見えない……」

「私としたことがいけませんねぇ。花火に嫉妬してしまいそうだ。」

「嘘ばっかり。」


くすくす笑うとメフィストはお互いの吐息を感じるほど顔を近づけて、ニヤリと笑った。


「言ったでしょう?常に愛情を注いでいると。余裕たっぷりの***に今からそれをわからせてあげますよ…」


そう言って口付けられた瞬間。ほら、また彼のペースに巻き込まれていく。






大輪の花をよそ目に流される私は、なんて愚か者なんだろう。








3・2・1!
私は再び魔法にかかる







from 咲玖羅様

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