今日も朝から魔障者の看病に当たり、あと少しで時計は午後を回る時間だった。
やっと、患者が落ち着いてきて、あと一人の魔障者に解毒作用のあるお茶を飲ませたら少し早いが先に昼休憩をしてしまおうと、患者の身体を起こした。背中を支えながらお茶を手渡し、飲むのを手伝おうとすると、タイミング悪く患者が咳き込んでしまい、その拍子に湯飲みが傾き手元から落ちてしまった。当然まだ飲みきっていない湯飲みの中身はこぼれ、私の膝にかかってしまったが、幸い飲みやすいようにぬるめにしてあったため、火傷はせずに済みそうだった。
「す、すみません!!」
「大丈夫ですよ!それより布団にかかってしまいましたね。今拭くものを持ってきますね」
タオル類が置いてある場所までパタパタと急いでいると、前から女将さんが同じようにパタパタと忙しそうにやって来た。会釈をしようと軽く頭を下げると、「まぁ!!」と短く声を発して近づいてくる。
「どないしたんどす?びしょびしょやないの!」
「あ…すみません。はしたない格好でうろうろしてしまって」
「そんなんええから!すぐ着替えな」
「私実家から通ってるんで替えの服は…すぐ乾きますから大丈夫です。それより患者さんの布団も濡れてしまったので、タオルと替えの布団をお借りします」
「そんなんこっちでやりますさかい、先生は着替えて下さい!仲居の制服なら替えがありますから!」
女将さんは偶々通った仲居さんに替えの布団とタオルを持っていくように頼むと、初日に通された客間に再び通され、女将が持ってきた仲居の制服である着物を、勿論着付けなど出来る訳がないので着付けてもらった。慣れるまで動き難いがやはり濡れた服を着ているよりかは大分増しだ。
「ありがとうございました!!仲居さんの制服だけど着物なんて滅多に着れないから嬉しい」
「やっぱり女の子はええねぇ。娘も欲しかったわぁ」
「息子さんがいるんですか?」
「えぇ、息子(ぼん)が一人。祓魔師になるゆうて正十字学園に勝手に入って…」
「え…?」
「先生はご存じない?勝呂竜士」
ご存じもなにも。
聞き慣れた名前が出てきたことに驚いてしまい、阿呆みたいにぽかんと口を開けてしまった。
女将さんは不思議そうに「沢山生徒さんおるやろうに、知りまへんよなぁ」と眉を下げて微笑んだので、慌てて違います!と答えた。
「私一年生を担当させて頂いてるんです。ですから勝呂くんの事は良く知っていますよ」
「まぁ…!!竜士がお世話になっております!あの子向こうでちゃんとしてはりますか!?」
「とても優秀ですし、クラスをまとめてくれています」
「そうですか…これからもよろしくお願いします」
女将さんは安心したのか、ホッと肩で息をし頭を下げたので、自分も頭を下げた。下げられた目線の先には着物が見えて、もうすぐ到着するであろう日本支部の人達にこの格好をどう説明しようか考えた。
何かもう色々酷い。かなり短くて申し訳ありません。今回はこれ以上話を広げられないのに時間かけても仕方がないし、今回でも柔造はまだ出すつもりも無かったので早々に上げてしまいました。
次回は原作で柔造さん出てきている所ですね!
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