日曜日の朝は二人して寝坊するのがお決まりで、何時もより明るいカーテン越しの日差しを感じて目を覚ます。朝がとても弱い廉造は抱き枕みたいにぎゅうぎゅうと私を抱き締めて寝ている。口が少し開いていて何時までも子供みたいなのはやっぱり大家族の末っ子だからかな?なんて笑ってしまった。
振動で起きたのか、重たそうな瞼を数回瞬かさせて「おはよう」と関西独特のイントネーションで挨拶した。
「おはよう。もう10時だよ。」
「ん、」
まだ眠たいのか大きく欠伸をした再び目を閉じてしまう。
「廉造。」
「ん〜…まだ眠たいからこのまま…」
「でもお腹空くよ?もう遅いから起きてランチにしよ!顔洗ったら手伝って!!」
一足先にベッドから出ると、冷たい水で顔を洗う。そうしてる間に廉造も起きてきて、二人並んで歯を磨いた。頭一つ分は高い彼の寝癖のついた髪を歯ブラシを持っていない方の手で直してやろうと手を伸ばして撫でつける。柔らかい髪が変な方向にピンと立っていて、笑ってやれば膝かっくんをお見舞いされた。
洗面所で戯れた後は着替えてキッチンに立つ。何が食べたいと言えば何でもなんて言うから冷蔵庫を見てまた悩んでしまう。卵がたくさんあったっけ?
「あ、久しぶりにオムライス作ろう!」
私が玉ねぎをみじん切りにしている間、廉造が鶏肉を小さく切る。本当は二人入るには狭いキッチンで料理するのは効率が悪いけれど、狭いねなんて良いながら作る料理は美味しいし、何よりこの時間が幸せだと感じる。
「**、卵といたで!」
「じゃあお皿用意して!」
ミルクを少し入れた卵でケチャップライスを包むと、お皿に丁寧に盛り付けて出来上がり!廉造が作ったサラダも冷蔵庫から出せば立派なランチだ。
「ソースどうする?」
「ケチャップでええよー。」
そういうと彼はケチャップを取り出して、オムライスの上に文字を書いていく。
「ベタだねぇ。」
「**のは『れんぞーLOVE』って書いてやるわ!」
「じゃあ廉造のは?」
「んー、じゃあ**書いて。」
渡されたケチャップを持って何て書こうか悩んでいると、後ろから手が回されて私のケチャップを持つ方の手に自分の手を重ねてオムライスに文字を書く。自分で書いてって言ったくせに。
丁寧に書かれたのはハートのマークだ。
「うわ、ベタだ。」
「えーの。さ、食べましょ!」
二人でいただきますと手を合わせて、今日は何をしようかと話しながらオムライスを頬張る。廉造が「美味いわ。…俺が作ったサラダ」なんて言うから(野菜切っただけなのに)オムライスの皿を交換してやった。少し食べたせいで“れんぞーLOVE”が“れんぞーLOV”になっていたけど、自分で自分LOVEと書かれたものを食べる姿はとても可笑しかった。
日曜日の朝は二人して寝坊するのがお決まりで、一緒に起きて、一緒にご飯を食べる。
時々こうして狭いキッチンで肩を並べて、君との時間を味わうのだ。
キッチン
(キミと味わう愛の味)