無気力少女は戦闘狂(バーサーカー) | ナノ


2、転生しました。  


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ふと目が覚めると、見に覚えのないベッドで寝ていた。
そして、“目が覚める”と言う行為のおかげで、僕が今まで意識のない状態にあったことに気づいた。

「おはよ」
「わっ、虚もどき!」
「……一応ネロって名前があるんだけど」
「え、黒?」
「一瞬で日本語訳された!?」

そりゃあだって、ネロがイタリア語で黒だってことは周知の事実だし。

「まぁいいや。ねぇ、ここはどこ?」
「ここはあんたの新しい家。あんた、転生したの」
「どこの世界に?」
「二次元転生が前提なんだ……」
「リボクラ舐めんな」
「……はい。そんなわけでリボーンの世界です」
「ふーん」
「あれ反応薄くない!?」


別にそんなわけじゃないけど、確かにリボーンの世界に行きたいって何回も思ってたけど、実際来て見てそこまでまだ実感がないわけだし、なんとも言えないよね。
それに、もし転生したら何したいってことも何も考えてないうちに死んじゃったしね。

「実感とかだったら、そのうち来るよ。明日から学校なわけだし」
「ゑ?」
「定石でしょ? まだ中1は始まったばかりだし、クラスにもすぐ慣れるって」

が、学校とか、そんな言われても、僕、学校にいったことないんだけど、ううん、それ以前にまず幼稚園とかそもそも保育所にすら行ったことない僕がちゃんとやっていけるのかどうか心配なんだけど。

「前世としてのあんたのこと見ても、いろんな人と話せてるんだから、きっと大丈夫。自信持った方がいいよ」
「わ、分かった。取り敢えず遠巻きでツナとか山本見てニヤニヤしてることにする」
「それ不審者……」




**********




翌日。
ネロが用意しておいてくれた並中の制服を着て、僕は若干ビビりながらも並中に向かった。
道順はこれもまたネロが用意しておいてくれた地図のおかげで迷わずに歩けている。
なんとか到達すると、そこには漫画やアニメで見たのと相違ない並盛中学校が立っていた。
もちろん校門には風紀の腕章をつけた学ランリーゼント集団。
その脇をそろっと抜けて僕は職員室に向けて一直線に走った。

「し、失礼します。えっと、今日から転入することになってる霞です……」

えっと、小説とかだとよくここで担任の先生と挨拶とかしてるけど、でも、どうすればいいんだろう。
キョロキョロと辺りを見回す。

「もしかして、霞恭華さん?」
「え、あ、はい」
「せっかく来てくれたのにごめんなさいね、担任の先生、部活の朝練から戻ってないのよ。先に教室に行っても大丈夫よ」
「教室……?」
「ああ、そうよね。転入初日じゃわからないわね。案内したげるわ。私は1-Bの担任、三枝よ。よろしくね」
「よろしくお願いします、三枝先生」

そんな訳で、三枝先生の案内で自分の教室である1-Aまでやって来た。
ああ、やっぱりこのクラスなんだね。
やっぱりツナとか山本見てニヤニヤしてるしかなさそうだ。
あ、京子ちゃんを見てニヤニヤするのもありかも。
イヤイヤ、そんなことしてたら花ちゃんに変な目で見られるのが必至だ、やめておこう。

「多分あの奥の席がそうよ。それじゃ、なれないかもしれないけど頑張ってね」
「はい。三枝先生ありがとうございました」

三枝先生が隣の教室に入って行くのを見てから、僕は教えてもらった席に着いた。
もちろん、周りからは好奇心の目で見られている。
それがどうしても息苦しくて、思わず椅子の上で体育座りをして丸まった。
僕がどうしても行きたかった学校って場所は、こんなにも居づらいところなのか。
いや、転校生と言う存在が珍しいってことくらいは理解している。
その珍しいものを見ているだけなんだ、みんなは。

「あ、あの、大丈夫ですか?」

そんな中、誰かに声をかけられた。
顔をあげて見ると、それはツナだった。

「体調が悪い?」
「ううん、違います。大丈夫」
「そっか。オレ、沢田綱吉って言います。まだクラスの人の顔と名前全然覚えてなくて。君は?」
「僕は霞恭華。今日、転校してきました」
「あっ転校生なんだ。そっか、だからみんな雰囲気がおかしかったのか。あの、オレじゃ役に立たないかもしれないけど、何かあったら言ってね」
「……うん」

あれ、思った以上にツナっていいヤツじゃないですか。
それにこの状態だと、まだみんなにダメツナなんて呼ばれてるわけじゃなさそう。
ありがとう、そしてごめんねツナ。
僕がこれから君に関わることはないと思うよ。
だってもう、遠くから見てるだけって決めちゃったから。

「おーう、遅れてすまんな。それで、霞はいるか?」
「え、あ、はい」

突然現れた彼が僕たちの担任なんだろうか?
彼に促されて教室の前に行く。

「もう話したヤツもいるかもしれんが、紹介しておこう。今日からこの1-Aのメンバーになる、霞恭華だ」
「よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げる。
ちらほらと笑い声が聞こえるのはどうしてなんだろう。
なんだかまた、息苦しくなった。

「オレは担任の赤津だ。吹奏楽部の顧問をしている。よかったら入らないか?」
「結構です」
『クスッ、即答で断られてるし』
「そこ笑うなよー」

赤津先生がふざけ気味に返すと、クラスのみんなが笑っていた。
このクラスの人たちは、この先生が好きなんだなって、ふとそう思った。
そのあと赤津先生が幾つか話をして僕はまた自分の席に戻った。
そして、気づいた。

「よろしくね、霞さん」

隣の席が京子ちゃんと言う事実に。


[ | mokuji | ]







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