無気力少女は戦闘狂(バーサーカー) | ナノ
えーっと、皆さんこんにちは。
僕の名前は霞恭華です。
どんな人かと聞かれると、取り敢えず、リボクラとだけ答えます。
ええそうですよ、リボーンが好きすぎて頭がおかしくなりそうな人間ですよ。
けどまぁなんと言うか、僕の周りにリボクラなんて一人もいないわけで。
と言うのも、僕はずっと、家から出ることのできない生活を過ごしているから。
どうにもこうにも、生まれつき体が弱いらしい僕は、生まれてから一度も外に出たことがない。
そうは言っても僕自身がそれを実感したわけじゃないし、それが原因で大きな病気にかかったことがあるわけでもない。
実質的に僕は軟禁されている。
かと言って外の全てが遮断されているわけじゃなくて、むしろ僕が欲しいと言ったものは全て買ってもらえるし、いろんな人(僕が学校に行っていたならクラスメイトになっていた人たち)が遊びに来て、楽しい日々だ。
そうでもしなければ僕がリボクラになるわけがない。
そうそう、僕には親にも言えないある秘密がある。
それは、僕が無性の銃マニアだと言うこと。
女の子がこれじゃあ世話ないでしょ?
だから誰にも秘密なんだ。
……少し自分の話をしすぎだね。
結論から言うと、僕はなんでもいいから楽しいことを待っているんだ。
少し今の生活には飽きてるからね。
できることなら、外の世界に飛び出して、この家とは離れた何処かで生きていたい。
ずっと、ずと遠くへ。
「無理だってことは充分承知してるんだけどね」
BLEACHのDVDを見ながらつぶやく。
ふと気になるんだけど、もし人が死んだら、その魂の先は尸魂街なのか六道輪廻なのか、どっちなのかな?
僕的にはどっちでも有り。
魂魄になるならば魂葬されないように逃げつつ虚になって見たいし、六道輪廻ならちゃんと六個全部廻ってみたい。
て言うのを遊びに来た子に話したら、性格ゆがんでるって言われちゃった。
「それ以前に死にたくないのが本音なんだけどさ……それはそれ、これはこれ。さて、BLEACHも見終わったし今度はハガレンでも持ってこようかな」
よっこらせ。
立ち上がった瞬間、ひどい立ちくらみに襲われた。
視界は完全に真っ暗で、平衡感覚も無くなって体を支えられない。
な、何か、掴まるもの……。
**********
「ただいま」
家に帰ると、家の電気はついていなかった。
あの子がいるはずなのにどうして?
「恭華? いるの? 寝てるの?」
リビングにはいない。
恭華は基本的にご飯の時以外は部屋にこもっている。
なんだか嫌な予感がしながらあの子の部屋へと向かう。
コンコン、とドアをノックする。
返事はない。
「恭華? 入るよ」
ドアを開ける。
電気はついていなくて、テレビの光だけが部屋を照らす。
その光に同じように照らされているのは、倒れている恭華。
「恭華!? しっかりしなさい!」
慌てて駆け寄るも、その体はとても冷んやりとしている。
死ん……でるの?
「嘘、よね? ね、恭華、起きなさい、晩ご飯、一緒に作るって、言ってたじゃない……恭華、恭華……起きなさいよ恭華……恭華っ!!」
**********
なんだか不思議な気分だ。
あんなにただのクールビューティーだと思ってたお母さんが、こんなにも取り乱して泣き叫んでる。
目の前に広がるのは、倒れている僕の体を抱えて泣き続けるお母さんの姿。
僕は、どうなったの?
体は透けて、胸には千切れた鎖がついている。
僕、死んだの?
「あはは、死んだってわかりやすい格好だね、これ」
そっか、なるほどね、あの疑問は結論から言って、BLEACHが正しかったみたいだ。
それじゃ僕はもうここにいる理由はない。
死神や、虚たちから逃げなくちゃいけないから。
さよなら、お母さん。
最後の最後に、僕はちゃんと愛されてたんだってわかって嬉しかったよ。
「で、あんたはこれからどうするの?」
「……え?」
今、誰か僕に話しかけた?
周りをみても誰もいない。
「こっちだよ、あんたの上」
「上? ……ええー」
「ええー、とか言わないの」
言われたとおり上を見上げた僕が見たのは、虚ぽい何か。
なんでそんな言い方をしたのかと言うと、仮面はつけているんだけど、なんて言うか妖精っぽい何かがあるから。
「何? 僕を喰べに来た虚?」
「虚? 何それ。そんなことより、あんたは霞恭華であってる?」
「え、うん」
「オッケー。ちょっと私について来て」
「やだ」
「即答!?」
「だって、知らない人にはついていってはダメ、てお母さんが」
「ガキの教訓かよ」
外に出たのは初めてだけど、早々にこんな人に会うとは思わなかったよ。
お母さん、あなたはある意味正しかったです。
「とにかく、来てもらわないと困るの。このままBLEACHの世界と誤解したまま過ごされるのはごめんだからね」
「誤解? これはBLEACHとは関係ないの?」
「そ。このまま待ったって死神は魂葬に来ないし、虚だって喰いには来ない」
なーんだ、つまんないの。
「でも、そしたらどこに行くの?」
「ついてくればわかる」
「え、ちょ、首根っこだけは勘弁……!!」
そしてわけもわからないまま僕はその虚もどきに拉致られました。
fin
「勝手に終わらせるなぁぁぁ!!」