9夢
「貧血なんて初体験だよ(笑)」

結局貧血でした☆

ま、そりゃあね、あんなに血ぃ流してたんだしね。

「本当に大丈夫か?」

「大丈夫だってば山本。これでも私ってタフなんだよ?」

「そ、そっか」

あー……やっぱ慣れてない感じですか。

だよねー。

見ず知らずの人に名前呼ばれても困るよねー。

「大丈夫なら家に帰るぞ」

「待てよリボーン! 姫ちゃんまだ怪我してるだろ!」

「それなら心配nothingだよ」

「え?」

不思議そうな顔をするツナに、私は服を捲って見せた。

「傷ならこの通り治ってるからね」

「んな!?」

幼い頃から私は人と違うところばかりだった。

その中でも特に異常だったのが、この治癒速度。

どんな大怪我をしても絶対に1日以内で完治してしまうのだ。

「言ったじゃん。私ってタフだから」

「そーか。なら帰るぞ」

ずっとベッドの上(と言うか私の上)に乗っていたリボーンは、ぴょんと飛び降りるとさっさと歩き出した。

「オレ達も帰るか」

「それでは10代目、また明日」

「うん」

山本と獄寺も帰って病室が静かになった。

「オレ達も帰ろっか。それじゃあディーノさん」

「ああ。気をつけて帰れよ」

ちょっと待って。

帰るよ、帰りますから……

「足に力入らないからおぶって」

3人に苦笑いされた。

立てないんだから仕方ないじゃないか!(泣)

**********

「本日のニュースです。○○県××市に住む△△さんが殺された事件について、事情徴収をしようと警察が友人2人を訪ねたところ、行方が分からなくなっていることが今日判明しました。2人は△△さんの親友であったとのことで、行方が分からないのは昨晩からだと言うことです。2人の母親によれば、夜9:00頃に□□さんの家に止まると連絡が入り、その1時間後2人は自室に入るのを確認されています。しかしその数分後に様子を見にいったところ、2人の姿はなかったと言うことです。警察はこの二つの事件に関係性を感じ、並行して調査を進めるとのことです。では、次のニュースです…………」

**********

「おーい、獄寺夫人ーっ」

「何?」

あー、だいぶ怒ってますねー。

そりゃさ、フランのこと追いかけただけで変なとこに落ちてそれきりだけどさ、そんなに怒ることですかねー?

「イライラしないでさ、出口見つけようよ」

「誰のせいでイラついてると思ってんの!?」

誰って、フランでしょ?

だってあのカエルを追いかけたりしなかったらこんなことにはならなかった訳だし。

「そうじゃないでしょ!」

え、違うの?

うーん、では一体何にイライラしてるんだろうか……。

パカッ

ん?

“パカッ”?

「ねぇ、今変な音がぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあ!!!」

「はい!?」

突然叫び声を上げながら獄寺夫人が目の前から姿を消した。

直後に自分にも落ちる感覚がやって来る。

「ええええええぇぇぇぇえぇぇぇえええ!!?」

イッツリアルフリーフォール。

って呑気にしてる場合じゃないや。

一体どこまで落ちるんだろうこれ。

真っ暗だから何も分からない。

穴を落ち続けるアリスもこんな気分だったのかな?

「どSちゃーん」

遥か下から聞こえて来る声。

はい!?

どんだけ下なんですか!?

どさっ

落ち始めてから約1分。

どこかに放り出されるようにして着地した。

「あいたた……あれ? ここどこ?」

いつの間にか暗闇じゃなくてちゃんとした場所にいた。

明るくて風景のある場所。

「いつつ……」

「あ、大丈夫?」

獄寺夫人を近くに確認して少し安心する。

とりあえず、離れてなくてよかった。

お互いの五体満足を確かめ合って、改めて周りを見た。

全く見慣れない町並みからして、自分達の町じゃないってことはわかるんだけど……。

でもなんだろう、ここ知ってる?

「ねえ、これ見てよ」

「ん?」

獄寺夫人に袖を引っ張られる。

「こ、これは」

私は目の前にあるものに釘付けになった。

ちらりと隣を見ると、こちらを見てうずうずしている彼女が見える。

私達は同時に頷くと、勢いよく立ち上がった。

「「お寿司くださーい!!」」

そして、『竹寿司』へと入っていった。

**********

「速報です。先日行方不明となっていた△△さんの友人2人が遺体となって発見されました。いずれも外傷はなく、死因は不明だそうです。なお、警察は事件性があるとして捜査を続けていく方針です。…………」


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