8夢
暗い。

どこまでも暗い。

私は一体いつまでここにいるんだろうか。

そもそも、どうして私はこんなところにいるんだろうか。

果てし無く長い間、私はずっとここで浮いている。

指一本ですら動かすことができない。

思考がうまくまとまらない。

終わりのない闇の中、はるか彼方に小さな光が見えた。

自然と体がそこに引き寄せられる。

光がだんだん大きくなる。

やがて、私の体は光をくぐり抜けた。

しばらくぶりの眩しい光に目が慣れず、視界が白に染まる。

しかしそれもじきに収まり、すぐに見えるようになった。

そこにあったのは、私の顔を覗き込むツナ・獄寺・山本・リボーン・ディーノ・ロマーリオの姿。

はぁ、まだ夢の中なのか。

いい加減現実世界に帰してくれ……なんて思うけどリボーンの世界は好物だし、まだいいか。

それにしてもやっぱディーノかっけーな。

とにかく今の私の状況を知りたいし体を起こすか。

と思ったが、

ズキッ

「いった……」

貫くような痛みが身体中を駆け抜けた。

全く、夢の中でも痛み感じるとかどんなイジメだよ。

「だっ大丈夫!?」

「うん、これくらいなら平気だから心配しないでツナ」

「え……? 何でオレの名前知ってんの!?」

……What?

なんで驚いてんの?

いつもだったら普通に返事返してくれるよね?

ズキッ

「あてて……」

またお腹が痛くなる。

ぬるっとした感触にびっくりして見てみると、血が出ていた。

え、これってヤバたんじゃね?

うん、今はこいつらのリアクションにリアクションしてる場合じゃない。

まずは現状把握をしないと。

「と、とにかく、誰か私に現状をtell me〜……」

その一言で全員、特にツナの表情が固まった。

何言っちゃってんのコイツ、みたいな顔されてるんですけど。

「もしかして自分に何があったかわからないの?」

「わかってたら質問せぇへんねん!」

いてっ。

ごへえっ。

うえっ。

叫ばすなやダメツナ!

傷口開くやんか!

「お前、腹に包丁が刺さった状態で倒れてたんだぞ」

ダメツナに代わってリボーンが答えてくれた。

包丁……?

あ、そっか、そう言えば私って……

「お母さんに刺されたんだった☆」

「え!?」

そしてお母さんは言った。

『これは現実だから』

とどのつまり、ここは私がよく知る夢の中のリボーンの世界じゃなくって、ストーリーが存在するリアルな方のリボーンの世界ってこと!?

信じ難いっちゃそうだけど、けどそう考えたらさっきのツナ達のリアクションも納得が行く。

「何があった。詳しく話せ」

詳しくと言われましてもかなり複雑だからむしろ信じてもらえるか心配だなぁ。

でもちゃんと話さないと、ツナの名前を呼んだせいで獄寺に睨まれっぱなしだからコイツに殺されるかも。

よし、なんとか話すとしよう。

もしかしたら私達の世界について知ってもらえるいいチャンスかもしれないし。

「まず、驚かないで聞いて欲しいんだけど、私はこの世界の人間じゃないの」

はい再びフリーズ。

止めてよ、決心した私がかなり恥ずかしくなるじゃないか。

「ざっとまとめると、私が住んでいたのはツナ達のいない世界。うーん、正確にはいたんだけど、私達からすれば二次元、つまりは漫画やアニメのキャラなの」

そんな訳であれこれとゲロって見ました。

夢の中でよくリボーンの世界に入り込んでいたことや、あの最後の夢のことも話した。

ただ、この世界の時間軸がわからないんで、フランのくだりはすっ飛ばさせていただいたZE☆

「なるほどな。それで10代目を知ってたのか」

「もちろん獄寺、君のこともね。君たちが今までに知り合った人たち、これから知り合うだろう人たちのことだって全部知ってる。あ、あとはツナが好きなきょ」

「わーーーーーっ!!」

ちぇっ、いいところだったのに。

事情を知ってるリボーン以外は頭に?を浮かべている。

「そんなことより、お前の名前はなんだ?」

むぅ、上から目線は嫌われますぜ自称紳士。

まぁ仕方ない、教えてあげようじゃないですか。

「私の名前は……あれ?」

「どうした?」

「私の名前って何?」

「はぁ!?」

いや、冗談とかじゃなくて真面目にね。

いつもあだ名で呼ばれてた、なんて理由にならないよ?

だって家族からはちゃんと名前で呼ばれてたんだからさ。

じゃあなんで思い出せないのかな?

とりあえず、これだけは覚えてる。

「友達からは姫って呼ばれてた」

はい三度フリーズ。

「仕方ねーな。思い出すまでは姫って呼ぶが、それでいいか?」

「問題nothingですぜ!」

だってほら、ベルと同等になったって感じじゃん?((殴

「えっと、じゃあ姫ちゃん……でいいかな?」

「はいよ」

「他の世界から来たってことは、多分住むとこないよね? 良かったらオレん家に住まない?」

「……Pardon?」

まさかのびっくり発言やね。

人ん家に泊まったことすらない私がツナの家に住めるだって!?

「うん、じゃあ……お願いします」

ここまで言って、ふと自分の異変に気がついた。

リボーンのキャラの家に、しかも一番賑やかなツナの家に住めるなんてこの上なく嬉しいことのはずなのに、全くと言っていいほどテンションが上がってない。

夢の中で雲雀さんと会った時とはまた違う。

まるで、貧血かのようにスーッと意識が遠のいて……

「わっ姫ちゃん!?」

最後に、ツナの声が聞こえた。


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