#3 Soul society



人は、人生を終えると魂魄になる。

そこから死神の導きで尸魂界へとやって来る。

尸魂界は大きく2つに分かれ、死神たちの住まう瀞霊廷とそれを囲むように魂魄たちの住まう流魂街がある。

流魂街はさらに東西南北に分けられ、瀞霊廷に最も近い場所を第1区とし、離れていくごとに数字は大きくなり最大で第80区まで存在する。

数字が小さいほど安全で平和な場所であり、大きいほど地獄のような場所となる。

冬菜のいる所は西流魂街第1地区「潤林安」、最も平和と言われる場所だ。

死神というのは現世をさまよう良き魂魄「(プラス)」を尸魂界へ送り、魂魄を喰らう悪しき魂魄「(ホロウ)」を退治し浄化する者たちのことである。

霊力を持ち、真央霊術院を卒業しなければ死神になることはできない。

流魂街にいる者は殆どが霊力を持たないために腹を空かせることはなく、成長することもない。

そして「冬獅郎」は死神になるためにこの家を出ていった。

「冬獅郎が家を出てから随分経つからねえ。冬菜ちゃんがよければ、一緒に暮らさないかい?」

「え?」

とても信じられない言葉だった。

「おばあさん、わたしのこと、こわくないの?」

「怖くないよ。冬獅郎が戻ってきてくれたみたいで嬉しいよ」

パキン。

心の中で何かが割れた音がした。

“彼”が消えてからずっと支配していた寂しさが、また人の温もりで満たされ始めていた。




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