始まりのあの日


希望ヶ峰学園。
全国から超高校級の生徒を集めプロデュースする、そんな場所。
卒業すれば人生バラ色とも言われる、そんな場所。
興味がなかったと言えば嘘になる。
だけど、行く気なんてさらさらなかったのは本当のことだ。

気付いたらゲームクリエイターとしてネットで有名になっていた。
せっかく見つけた居場所で、好きなことを好きなだけやっていた結果だった。
他の人が楽しんでくれているならそれでいいし、それ以上もそれ以下も求めていない。
だから手紙が届いた時、少しつまらなかった。

《江ノ島巡様
貴方を超高校級のゲームクリエイターとして、希望ヶ峰学園への入学を許可します》

望んだことじゃなかった。
ゲームクリエイターはただの趣味で、ただ他にすることがないだけで、ただの居場所だった。
希望ヶ峰学園に行って何か変わるのだろうか。
ふと今まで歩いて来た道を振り返ってみたら、何かが変わるほど大層な人生を送ってないことに気づいた。

「…………何も変わらないなら、忘れるために……」

思い至ったのはそんな言葉だった。
忘れるために新しい居場所へ行こう、そう思った。

そうして、親に一言も告げることなく、希望ヶ峰学園への入学を決めた。


prev next

[back]


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -