60、転校生?




場所は日本。

そして我らが並中2-A。

今日この日、クラスは一段と騒がしかった。

それもそのはずで、こんな時期にこんなクラスは転校生を迎えることとなっていたのだ。

もちろんのこと、男子は女子を、女子は男子を期待してその転校生に期待に胸を馳せる。

ツナはと言えば、全く興味を示さず、むしろ嬉しくなさそうな顔をしていた。

なんとなく、本当になんとなくではあるけれど、今回の転校生もマフィアの関係者なのではないかと内心ヒヤヒヤしているのだ。

そう感じていたのはツナだけでなく獄寺でも言えたことだが。

担任の指示で教室に入って来たのは、女子だった。

女子……のはず。

スカートを履いているのだから、要と違って正真正銘の女子であるはずだ。

と言うのも、茶色い髪はボーイッシュなショートヘアで、言っちゃ悪いが体の凹凸がない。

「初めまして、僕は鈴羅木フィアッカです。父が日本人で母がイタリア人のハーフです。よろしく!」

ガタンッ、と言う音が教室に響き渡った。

教室中の視線が“彼女”の元に集まる。

その等の本人は周りの視線に気づくことなく、ただただ驚きの表情を浮かべるばかりであった。

「そんな……フィアッカ!?」

「やちるじゃん。はろはろー」

「え、やちるちゃんの友達!?」

ここまでやちるが動揺する姿を見るのは誰もが初めてだろう。

それもそのはずで、なぜなら今ここにいるフィアッカは本来ならここにいるはずのない人物。

やちるの、前世での(・・・・)友達なのだから。




†‡†‡†‡†‡†‡




「ちょっとどう言うこと!?」

休み時間になるや否や、やちるはものすごい剣幕でフィアッカに詰め寄った。

ものすごい剣幕とは言っても内容が内容なのでかなり小声ではあるが、それでも迫力はある。

やちるにとって、フィアッカがこの世界にいると言うこと自体が理解し難いことだった。

「ストップすとっぷっ! 悪かったってぇ! けどさ、僕だってリボーンが好きなの知ってるだろ? だったら転生とかトリップくらいしてもいいじゃないか」

「そのこととこの世界にいることは話か別よ」

「それなんだけどね、ついこの間、夢の中に変な男が出て来てさリボーンの世界に連れて行ってやる、なんて言うんだよ。それで来てみたら、やちるがいたってわけさ」

詰め寄ってくるやちるに潰されまいとまくし立てるように説明をする。

そこで何かを思い出したような表情をするが、言いたくないのか、なかなか口を開こうとはしない。

「なによ」

「えーっとね、怒らないで聞いて欲しいんだけど、向こうの世界でのやちる、死んじゃったんだ」

「……え?」

「おじさんとおばさんがもう耐えられなくなって、やめちゃったんだよ。僕もこっちに来る2日前に葬儀に参加して来た」

「そう……もう後戻りはできないのね」

突然力が抜けたような表情になるやちるだったが、絶望したわけではなさそうだった。

むしろ、嬉しそうな、それを決意したような。

「いいわ、この世界で死ぬことができるなら本望よ。それに私はここでやらなくちゃいけないことがある。フィアッカとは言え邪魔はさせないわ」

「ふーん? やちるがなにを考えてるのかはわからないけど、君の邪魔をすることはないと思うよ。ところでやちる」

「なに?」

「君はいつまでキャラを作ってるのかな?」




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