42、南国バカンス




「着いたぞ」

『南国バカンスー!!!』

長かったような短かったような船旅も終わり、遂にマフィアランドと言う名の南国に辿り着いた。

とは言っても、奈々・京子・ハルはここがマフィアランドであることは知らない。

「さて、来たはいいけどどうします?」

やちるの提案に、全員が唸る。

何だかんだで、何をするとかしようとかは全く考えていなかった。

「そうです! バカンスと言えばビーチ、ビーチと言えばビーチバレーです! やりませんか!?」

道理に合っているような合ってないようなハルの提案。

勿論のこと、それは賛否両論な訳で……

「オレは賛成だぜ」

「私もですね」

「楽しそうじゃない!」

賛否両論な訳で……

「わーい! 僕もやっていい?」

「ウチも参加するで」

「うん、楽しそう」

さ、賛否両論な訳で……?

「オレも賛成だぞ」

「やりましょう10代目!」

「えっちょっ!? 何でみんなそんなにやる気なのーっ!? オレ無理だって!!」

……ツナ、どんまい☆

と、言うわけで、ビーチバレーをすることになった。

ビーチバレーの醍醐味と言えば、水着姿!!

……何ですが、え、描写なんかしないよ。

何々?

期待しちゃったわけ?

ふん、このオレが水着に詳しいとでも思ったか?

そんなに見たけりゃレオタードでも拝んどけ!

それはさておき。

チーム分けは男女混合。

赤チーム=ツナ・獄寺・やちる・ハル・フゥ太。

白チーム=山本・千鶴・京子・奈々という風になった。

因みに、リボーンは毎度お馴染みの審判である。

なぜかスイカのコスプレです。

「それじゃ始めるぞ。勝ったチームには小遣い1,000円ずつだ」

【ビミョー……】




†‡†‡†‡†‡†‡




「10代目!」

ガスッ

「ツナ!」

ゴツッ

「ツナさん!」

ベシッ

「ツナ兄!」

ドシャッ

『………………』

開始から20分弱。

ツナは見事なへたれっぷりを見せつけていた。

パス・トス・レシーブ・アタック・サーブ・ブロックすべてにおいて、なぜか顔面に命中させていた。

それを見ている白チームの視線と言ったらもう。

千鶴に至っては、爆笑を押さえるのに必死だった。

「ツッ君てば、相変わらずね」

「母さん、その台詞を笑顔で言わないでよ」

直後、ツナ自身がぷっと吹き出した。

それに釣られるように、みんなで笑い合った。

千鶴のように爆笑してる人もいれば、フゥ太のように可愛い笑い声の人もいれば、京子のようにクスッと笑う人もいれば、やちるのように微笑む人もいれば。

南国ビーチに楽しい笑い声が響いた。

時も過ぎて帰る時間となってしまう。

「楽しかったですね、10代目!」

「だな!」

「そうだね。正直言って、リボーンに感謝かも」

苦笑しながら呟く。

船の上から遠ざかっていくマフィアランドを見つめる。

「「ツナ」」

「あ、千鶴ちゃん、やちるちゃん」

そこに千鶴とやちるが現れる。

二人は、ツナ達がいる隣に並んだ。

「また、こう言うことができたらいいですね。今度こそ、霜月さんも誘いましょう」

「せやな」

千鶴が夕日に向かって背伸びする。

すると、その首元に何かがキラリと夕日を反射した。

よく見るとそれは、赤い石のはめ込まれた十字架のチョーカーだった。

「千鶴ちゃん、それは?」

「これか? これはな」

強い海風が吹く。

千鶴の髪が風でかき乱される。

「死に別れた親友からの贈り物や」

その目には、光がなかった。




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