第五話
「はぁ。」
「ヒナお姉ちゃん元気ないね?大丈夫?」
遊星と会った日から数日後、クロウにいつ会おうか考えていたら、子供達が声をかけてくれた。いけない。子供達にまで心配をかけちゃってる。
「ちょっとぼーっとしてただけ。もうそろそろご飯作るからね。」
子供達とそんな会話をしていると、なにやら玄関のほうが騒がしくなっていた。誰が来たのかな?
そーっと玄関の方を覗くと子供達の嬉しそうな声が聞こえてきた。
「あー!クロウにいちゃんだ!」
えっ!クロウが来たって!ど、どうしよう…。咄嗟に私はどこかに隠れようとしてしまった。ってダメだろ!私!
「会いに行こうよー!」
「う、うん。そうだね。」
子供達に手を引っ張られて外に出る。クロウは子供達に囲まれていた。
「よっ!ヒナ!久しぶりだな!元気にしてたか?」
「う、うん。クロウこそ」
ちょっと言葉に詰まったけど、なんとかいつも通りに話せている…かな?そのことに内心ホッとしていた。
「クロウかい。丁度いいところに来たね。買い出しを頼みたいんだ。ヒナと一緒に行ってくれないかい?」
「ちょっ…マーサ?!」
私たちの後に出てきたマーサがいきなりそう言ったので私はびっくりした。
マーサは私にそっと耳打ちする。
「最近クロウとまともに話せてないんだろ?丁度いいじゃないか。」
「え、でも…。」
「こっちのことは気にせず二人でゆっくりしてきな!」
そう言ってマーサは私の背中を物理的に押してくれたのでちょっとこけそうになった。
「何やってんだよ!マーサ!大丈夫か?ヒナ?」
「ちょっとよろけただけだから。」
私を支えてくれるクロウ。また胸が騒がしくなる。相変わらず優しいな。そういうところが好きなわけなんだけど。
マーサから買い物メモを受け取って、クロウのブラックバードに乗せてもらう。ブラックバードに乗るのはあの時以来だな。
買い物をしてる間、クロウは至っていつも通りな対応で逆にこっちが拍子抜けしてしまいそうな程だった。
「これで買い物は全部だな。」
「うん。ありがとう。クロウのお陰ですごく助かったよ。」
「これくらいならいつでも頼ってくれよ。」
後はブラックバードに乗せてもらって帰るだけだなのだが、クロウが寄りたいところがあるというのでそこに寄ってから帰ることになった。…どこに行くんだろう?私は検討がつかなかった。
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