第三話

相手のピエロさん(名前がわからないからそう呼ぶことにした。)のターンになってしまった。
ピエロさんが魔法カードディストレイン・カードを発動したので一枚の伏せカードが使えなくなっちゃった。このダイレクトアタックが通ってしまったらクロウは…!
私が内心神様に祈っているとクロウはフェイクフェザーを発動。相手の墓地のトラップを利用したお陰で、何とか凌ぐことはできて、ホッとした。けど、ライフは残り1200しかない。ここでクロウのターン。
クロウは私に向かってニッと笑っていた。この盤面をクロウはひっくり返せるの…?

クロウは伏せてあったもう一枚のカードトラップスタンを発動。これで相手のトラップはこのターン無効にできる。そしてBF-極北のブリザード召喚。このカードの効果で墓地のBFモンスターを特殊召喚できる。そこからシンクロ召喚し、BF-アームズウィングを召喚。相手の守備モンスターをそのまま攻撃。貫通効果があり、さらに守備表示のモンスターを攻撃する時攻撃力が500上がる。相手の守備力は0でアームズウィングは効果込みで攻撃力が2800だからこれでクロウとピエロさんのライフが並んだ!

「すごいよ!クロウ!これなら勝てるかも!」
「たりめーよ!俺がヒナの前で負けるわけねぇだろ!」

デュエルしてるクロウってなんでこんなにカッコいいんだろう。いや、デュエルしてなくてもクロウは普通にカッコいいけどね!!
ピエロさんもクロウもいい感じに盛り上がってきて私がクロウに惚れ惚れしていると、急に辺り一体に地響きが起こり、地面が揺れ出した。

「な、な、な何ということでしょう!こんなにも早く始まってしまうとは!」

ピエロさんはデュエルディスクを外し、慌てて逃げようとする。クロウと二人で捕まえようとしたけどダメだ。
ピエロさんは風船のような物に捕まって逃げてしまった。

そこで私とクロウは辺りを見渡して黒い靄が私達に迫って来ていることに気付いた。…これに取り込まれたら取り返しのつかないことになると私の本能が告げている。クロウもそれに気づいたのか私の手をひきブラックバードに乗り込む。

「飛ばすぞ!しっかり捕まってろよヒナ!!」
「うん!!」

クロウがフルスロットルで飛ばしてくれるけど、黒い靄を降り切れる気配はない。どうしよう。何か見つけたのかブラックバードが急停止した。そして冷蔵庫を指差した。

「ヒナ、この中に入れ。」
「…クロウはどうするの?」
「俺のことは心配すんなって!何とかする。」

冷蔵庫は一人しか入れるスペースがない。黒い靄がすぐそこまで来ている。私が入ったらクロウは…。

「わかった。クロウ、念のため冷蔵庫の中を確認してくれない?気になる物があるの。」
「ったく。しょうがねぇーな。一体何があるんだよ。」

そう言ってみれば、クロウは冷蔵庫を覗きこみ私に背中を見せた。よし、今なら警戒されてない。

「クロウ、今までありがとう。大好きだよ。だから…」
「ヒナ?急にどうし…。」

振り返ろうとしたクロウの背中を思いっきり突き飛ばして冷蔵庫の中に押し込み無理やり冷蔵庫を閉めた。これでクロウは助かるだろう。

空を見上げてみる。最後にみる景色か…。辺り一面真っ暗だ。どうせなら綺麗な夕日をもう一度見たかったな…。脳裏に懐かしい記憶が甦る。

「ヒナは本当に夕日が好きだな。よし、いつか夕日がもっと綺麗に見える場所に連れてってやるよ。」
「本当に?!約束だからね!」

あの約束…。もう叶わないな…。

私の体は徐々に黒い靄に覆われていき、意識が遠のいていくのだった。

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