第二話

クロウからヘルメットを受け取ったのはいいものを私は固まっていた。勢いで着いていくと言ってしまったが、私はDホイールを持っていない。

「なにぼーっとしてんだよ。早く乗れよ。」

クロウがDホイールの座席を指している。
私は遠慮がちにクロウの後ろに乗る。今気づいたのだが、これはどこに捕まればいいのだろうか。クロウはそんな私の思いを察したのか私の手を掴みクロウの腰に誘導した。

「しっかり捕まっとかねぇと振り落とされるぞ。」
「あ、はい」

この体勢だと必然的に私とクロウは密着することになる。心臓がバクバクしていてクロウに聞こえてしまうのではないかと不安になった。がそんなことも言ってられない。

「ところでクロウはどこに向かってるの?」
「最深部だ。ダークシグナーを一人でも駆除しておこうと思ってな。」

この言い方だとダークシグナーが害虫のように聞こえてしまうのは私だけでしょうか。

「そんな簡単に見つかるのかなぁ…」
「さぁな。でも行ってみなきゃわかんねぇよ。それに今の俺たちができることはそれぐらいしかねぇだろ。」

そんな会話をしていたら最深部まで到着した。サテライトの住民には止められたけど、もう後には引けない。
Dホイールを降りて、ダークシグナーがいないかクロウと共に探して回る。
するとピエロのようなメイクをしたいかにも怪しい小柄な人物を発見した。

「あの胡散臭い面!ダークシグナーに間違いねぇ!行くぞ!ヒナ」

クロウは駆け出し、その人物に向かって縄をなげて追いかけていく。私も必死に二人を追いかけるが、二人とも早い。二人を追いかけていくと建物が見えてきた。ここに入っていったのかな。明かりがなくて暗いから不気味な雰囲気を醸し出している。…ビビっている場合じゃないな。勇気を出して建物の中へと足を踏み入れる。
するとクロウと先ほどの人物がデュエルを始めていた。
相手の場にはヘンテコなモンスターがいて、トラップカードが3枚も発動されている。クロウの場には伏せカードが2枚だけ。ライフも結構削られているみたいだ。

「ヒナ俺はもうダメかも知れねぇ…。後は頼んだぞ。」
「そんな…クロウ…。」

ふざけた外見だけど、クロウが苦戦しているということはかなりやり手なのかこの人。状況を見るとかなり厳しそうだけど、諦めなければ勝機はあるはず。クロウ…頑張って。私は必死で応援するのだった。

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