第一話

私、クロウ、ジャック、遊星はマーサハウスで育った幼馴染だ。私以外の3人はマーサハウスを出て行ってしまったが、私はここでマーサの手伝いをしながら暮らしていた。
私はクロウのことが好きだったからクロウには離れて欲しくなかったけどわがままを言ってクロウを困らせたくなかった。だからクロウがマーサハウスを出て行く時頑張って笑顔で送り出した。クロウは私の頭を撫でてまたな!と言って行ってしまった。
でも、クロウは子供たちのことを大切に思ってくれているから時々様子見にきては子供たちにお土産を渡してくれているのだ。そんなクロウを私は見つめていた。

「なんだよ?俺の顔になんかついてるか?」
「…またマーカー増えてない?」
「これくらい大したことねぇよ。ま、名誉の勲章だな。」

マーカーは犯罪者の証だ。確かにクロウは窃盗をしている。でも盗んだ物はほぼ子供たちにあげていたし、自分の利益には一つもしていなかった。

「クロウ。無茶だけはしないで。お願いだから。」
「わかったよ。」

クロウは子供たちと戯れた後、

「もう行っちゃうの?」
「俺のアジトのガキどもが待ってるからな。また近いうちに来るからそんなに寂しそうな顔するなよ。」
「べ、別に寂しくなんか…」
「冗談だって。それじゃあな!」

クロウは行ってしまった。素直に寂しいと言えたならクロウはもうしばらくはいてくれたのかな。でも、そんなことはとても言えなかった。


最近クロウ来てくれないなぁと思っていた矢先、傷だらけの遊星を連れてきたのは本当にびっくりした。遊星は幸い傷自体は深くなかったようで、命に別状はないとのこと。それを聞いて心底ホッとした。
遊星の無事が確認できた途端クロウはブラックバードに乗ってどこかに行こうとしていた。

「クロウ?」
「見つかっちまったか。ヒナには見つからないようにしたつもりだったんだが。」
「ねぇ、何が起こってるの?遊星は傷だらけだったし…サテライトの人たちも最近減っているし…」
「いつまでも黙ってるわけにもいかねぇか…。」

クロウはかいつまんで説明してくれた。シグナーとダークシグナーの戦い。遊星やジャックはシグナーとして選ばれてダークシグナーと戦われなければならないこと。そしてこの戦いに勝たねばならないということも。

「そんなことが…。」
「遊星たちの役に立ちてぇから俺は今からそのダークシグナーを探して倒すつもりだ。」
「…私も連れてってくれない?」

クロウは私がそんなことを言い出すなんて思わなかったのだろう。ポカンとしたなんとも間抜けな顔していた。

「なに言ってんだ!そんなこと…。」
「デュエルだって頑張って勉強したし、私だってあなたたちの仲間なの!足手まといにならないようにするからお願い!クロウ!」

クロウはしばらく黙り込み悩んでいた。やがて私にヘルメットを投げてこう言ったのだ。

「俺から絶対に離れるなよ。」
「ありがとう」

こうして私はクロウと一緒にダークシグナーを探しに行くのだった。

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