I'll never leave you (クロウ)

WRGP決勝戦。対戦相手はチームニューワールド。相手の第一走者であるルチアーノと第二走者であるプラシドをジャックが倒してくれてこちらが優勢かと思われていたけど、それは相手の作戦の内だった。機皇帝を召喚されてスカーレットノヴァドラゴンも取られてジャックは敗退してしまい医務室へと運ばれてしまったが、何とかクロウへとバトンを渡してくれたのです今は第二走者であるクロウが準備をしている。
龍亞と龍可はクロウを行かせまいとしているけれど…。

「クロウいってらっしゃい。…ちゃんと無事に戻ってきてね。」
「…もちろんだ!不安そうな顔すんなよ!ちゃんと帰って来るからよ!」

ニッと笑ってクロウは駆け出していった。

「ヒナねーちゃん!どうしてクロウを止めなかったんだよ!!」
「そうよ…。このままじゃクロウは…。」
「大丈夫よ。クロウはあんな奴にやられたりなんかしない。」

龍亞と龍可は目に涙を浮かべながら私に詰め寄ってきたから、わたしは2人を抱きしめる。…本当は私だって止めたかった。でも、止めたところでクロウは行ってしまうのを分かっていた。だからクロウを信じて待つことにしたのだ。

しかし現実は酷だった。機皇帝の効果で囚われていたスカーレットノヴァドラゴンがクロウに牙を向け、クロウがシンクロキラー対策に準備していた極光のアウロラが破られてしまう。クロウは遊星に繋げることを最優先にしてブラックフェザードラゴンとトラップカードを残して破れてしまい、戻っては来てくれたものの、意識を失ってしまっていた。

「ヒナ…。クロウのことを頼んだぞ。」
「遊星…気をつけてね…。」
「あぁ。わかっている。」

遊星ならクロウが繋げてくれたチャンスを生かして勝ってくれるはず。遊星…お願いね。
私は医務室へと運ばれていくクロウを追いかけていくのだった。



気がつくとオレは身に覚えのない場所に立っていた。真っ暗で何も見えねぇ。例えるなら闇の中に取り込まれたような感覚だった。どこだ。ここは。
オレはさっきまでライディングデュエルをしていたはずだ。ならここはWRGPの会場じゃねーのか?とにかく戻らねーと…。改めて周りを見渡してみると微かだが光が見えた。
…他に行く宛もねーか。オレはその光に向かって歩き出そうとすると誰かの啜り泣く子供の声が聞こえた。子供の声を無視することはできねぇ。オレは声の聞こえる方向へと歩いて行ったのだった。
子供の元へと辿り着いて声をかけた。その顔を見てオレは驚くのだった。



「クロウ…!ねぇ、クロウ…!」

ずっとクロウに呼びかけているけれど、返事はない。どうしよう…。クロウがこのまま目覚めなかったら…。クロウがこんなところで死なないよね…。神様どうか…。クロウが目を覚ましますようにと願いを込めてクロウの手を握ってみる。…すると微かにだけどクロウが握り返してくれた。

「よぉ…。やっぱりヒナだったか…。」
「クロウ…!!よかった!!」
「泣き虫だな。ヒナは。」
「クロウのせいだもん!死んじゃったかと思ったんだから!」
「オレがヒナを置いて先にいくわけねーだろ…まぁ、でもオレなんかのために泣いてくれてありがとよ。そのおかげで帰って来れたみてーだし…。」

クロウに抱きつきたい気持ちはあったけど、今は大怪我をしているし、起き上がる気力もなさそうだったので今は我慢する。でも、元気になったら心配させた分甘やかしてもらおうっと勝手に決めるのだった。

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