お前がいれば(クロウ)

世の中にはどれだけ考えても納得できないことがいくつかある。いや、これに関しては私だけがそう思うのかもしれない。
私の目線の先には幼馴染のジャック・アトラス…とジャックを囲む3人の女性達。私は昔からジャックのことを知っているが、ジャックがモテる理由がわからないのだ。確かに身長は高いし顔立ちは整っているけれど。

「まーたやってんのか。あきねーんだな。あいつらも。ジャックのどこがいいんだかな。」

ジャックの様子を眺めていたらクロウが声をかけてきた。クロウも概ね私と思っていることは同じのようでため息をついていた。

「ヒナはジャックのことは何とも思わねぇのか?」
「うーん…スタイルとかはいいし、客観的に見ればかっこいいんだろうけど、働かないし、たっっかいコーヒーばっか飲むから…。好きにはなれないかなぁ。」
「…だよな。そういやあんまり聞いたことねぇけどお前って好みのタイプとかあんのか?」
「私にだって好みのタイプぐらい…」

言われてみてから気づいたが、そんなこと考えたことがない。好きなタイプか…。

「無理して答えなくてもいいぜ。」
「うーん…真面目に働いてて、孤児のお世話するぐらいに面倒見が良くて、人情深くて…
「へぇ…」

心なしかニヤニヤしながらこちらを見ているクロウ。

「なんでそんな顔してるの?」
「あー、気づいてねぇのか…。まぁ、そこがヒナの良さでもあるけどよ。」

さっきからなんなんだろう…。私は変なことを言っただろうかと自分の発言を振り返ってみて、あることに気づき慌てて話題を変えた。

「く、クロウはさ、ジャックにみたいにモテたいとは思わないの?」
「全くもって思わねぇな。」
「そ、そうなの?」
「さっきの発言を聞かせてもらえただけでオレは充分だ。ありがとよ。んじゃオレは仕事があるからそろそろ行ってくるぜ。」
「い、いってらっしゃい…。」

クロウは私の頭を優しく撫でてからブラックバードに乗って出ていった。

「なかなか大胆なことを言ったな。」
「遊星!…どこから聞いてたの?」
「まーたやってんのかのところからだな。」
「ほぼ最初からじゃん!」
「オレはお似合いだと思うぞ。頑張れ。」

頑張れって何を…?と聞き返そうとしたが遊星も修理の依頼があったようで遊星号に乗って去っていく。
今度クロウに会った時、私はどんな反応をすれば良いのかわからなくなってしまった。

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