※円風チャットから派生したネタ
※痔丸さん
※キャラ崩壊注意
※閲覧後の苦情は受け付けません





痛い。ひりひりする。
どこがって?

「そんなの言えるわけがない!」

我慢できずに、思わず叫んでしまったら、隣にいた鬼道がびくっと大袈裟に肩を揺らした。

「……ど、どうしたんだ風丸」
「!わ、悪い鬼道…っ」

ゴーグルに隠れて見えないけれど、きっと訝しげな瞳を向けているのだろう。
まぁ、鬼道には申し訳ないが、そんなことはどうでもいい。それぐらい俺は切羽詰まっていた。
薬が陳列された棚に視線を戻し、目当てのものを探す。
しかし、どこにも見当たらない。

「ないな…」
「何の薬を探しているんだ?」

俺は放課後の部活を休んで、鬼道と薬局に来ている。
探しているのは、風邪薬でも頭痛薬でもない。
おおよそ他人には言い難いであろうそれを探している真っ最中だ。
一人で買いに行くのは不安で、鬼道に付き添いを頼んでみたが、実はまだ鬼道へと本当の目的を告げてはいなかった。
周りで相談できそうなのは鬼道くらいで、でも知られたくなくて、なかなか言い出せない。

「薬くらい一人で買いにこれるだろう?何故俺を連れ出してきたんだ?」
「え、えっと…それは、」

やっぱり言うしかないのか。
放課後の練習を休んでまで鬼道に付き合ってもらっているのだから、本来は言うべきなのだろう。
でも言いづらい。すごく言いづらい。できれば言いたくない。
周りを見渡してみると、客は俺達の他に二、三人で、レジには一人、店員がいるだけのようだった。

「ここじゃ話しづらい…な」
「では、近くの公園にでも移動するか」
「あ、あぁ…」

そういうものが売ってる場所で、しかも聞いてる奴なんて誰もいないというのに、渋ってしまうのはおかしな話だけど、気まずいものは気まずいんだ。
そんなわけで俺達は薬局を後にした。










「で、どうしたんだ?」

薬局から5分程歩いた公園にて。
この時間なら近くの小学生達が集まって遊んでいるものかと思っていたが、幸いにも俺達以外誰もいないらしい。
やっと落ち着いて話が出来そうだった。

「じ、実はな……俺」
「風丸…?」

ゴーグル越しに鬼道の目を見た。
言いたくない。でも、言わなくては。
生唾をごくんと飲み干して、恐る恐る口を開く。

「お、俺……痔かもしれないんだ…!」
「は、」

俺がどうしても他人に相談できなかったこと。
それは、尻に感じる身悶えるような痛みだった。
正直、椅子に座るのもつらい状態で、ましてやサッカーなんて出来そうもない。
後ろから生じる痛覚に気づいたのはつい最近だ。誰にも言えず、一人で抱え込んでいた悩みを、俺は鬼道にとうとう告白してしまった。

「これも全部、あいつのせいだ…!」
「おい、かぜま」
「毎日、毎日、円堂が…っ」
「わ、わかった…それ以上は何も言うな風丸」
「鬼道…!」

毎晩、毎晩、発情した犬みたいに盛ってくる円堂のせいだ。
まだ痔とは決まってないが、この後ろに感じる違和感は確実に円堂が原因だろう。
円堂は入れる側だから気にはならないだろうが、受け入れる身にもなってみろ馬鹿。
腰が痛いのも、腹が痛いのもまだ我慢できた。でも、さすがに後孔の痛みなどなかなか体験しないし、堪えられそうにない。
まぁいくら言っても円堂は聞かないから、こんなことになっているのだけれど。
鬼道の肩に掴みかかり、一方的に勢いよく言い立てて、日頃の鬱憤を吐き出す。

「落ち着け、風丸」
「はぁ……」

ある程度、言いたいことを言い終え、スッキリした俺は小さくため息を吐いた。
そんな俺の様子を見て、鬼道は何かを思い出したのか、鞄の中を何やらがさがさと漁っている。

「鬼道…?」
「……なんだ、そんなことか」
「へ……」
「ほら」

鬼道が差し出したのは、CMでよく見る商品名の書かれた小さな箱。
もっと重要なことだと思って心配した、と言う鬼道は珍しく柔らかい笑みを浮かべている。
いや、これでも俺にとっては大問題なのだが。
手渡されたそれを受け取って、パッケージを眺める。

「今は、注入型しかないが、それでいいか?」
「え、これくれるのか…?」
「あぁ。金はいらない」
「あ、ありがとう鬼道…!」

薬局でいくら探しても見つからなかったものが、俺の手の中にある。
漸く望んでいたものを手に入れた嬉しさに、俺は柄にもなく、鬼道に思いきり抱きついた。
驚いた鬼道が苦しそうに呻いていることなど構わずに、抱きしめた腕に更に力を込める。
鬼道に話して良かった。俺は心の底から、そう思った。
鬼道なら誰かに告げ口することもないし、安心だ。
ああ、鬼道が神様に見える。

「じゃあな、鬼道!」

俺は手にした注入軟膏薬を握りしめる。
そうだ、明日は何か鬼道にお礼をしよう。
何故、鬼道が注入用のそれを持っていたのかは知らないが、後ろの痛みなど忘れて俺は鼻歌混じりに走り出した。



誰にも言えない



「俺も経験済みだからな……」








痔にーはボラギ●ーr…すみませんでした
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