俺は風丸とのキスが好きだ。
何十回、何百回と数え切れない程しているが、飽きることはないし、もっとしたいとも思う。

「なぁ風丸、キスしていいか?」
「あ、あぁ…」

キスはいつも俺から誘う。
キスをねだると、風丸は眉間に皺を寄せて微妙な顔をした。
それでも、嫌とは言わないから俺は何も言わずに唇を奪う。
風丸は俺とのキスが嫌いなのかな?
こんなに気持ちいいのに。

「ん…」

最初は触れるだけ。
毎度のことだけど、唇同士が重なる柔らかい感触にどきどきした。
角度を変え、啄むようにして何度も吸う。
薄く開いた唇を、つぅと舌で撫でると、風丸の肩がびくっと揺れた。
隙間から舌を差し込み、奥に潜むそれを刺激すれば、弱々しくだけど風丸も応えてくれる。

「ん、はっ…んん」

舌を絡め合う度に、くちゅと響く水音と風丸の漏らす吐息にどうしようもなく煽られて、俺は更に口づけを深くした。

「ふ、あ……は…っ」

混ざり合った唾液が互いの口内を行き来し、飲み込み切れなかったそれは風丸の口元を伝う。
深く深く絡み合い、互いの境界線など解らない位に溶け合うような感覚が気持ちよかった。
酸欠になる程、激しく長い口づけをようやく解くと、どちらともつかない唾液の残滓が舌に絡み付く。

「は、ぁ」

息を整えた風丸は、濡れた睫毛を震わせて、俺をじっと見た。
キスする前と同じように眉間に皺を寄せて。
まるで、何かを耐えるみたいに。

「……円堂は、何で俺とキスするんだ…?」

唐突にそんなことを聞かれて、俺は首を傾げた。
予想外の質問だったけれど、考える時間など俺には必要ない。
俺が風丸にキスする理由?
そんなの決まってる!

「風丸が好きだから、だろ?」
「……っ」

そう言うと風丸は、ぼんっと音を立ててみるみるうちに耳まで真っ赤に染める。
あぁ、茹でダコみたいだ。
いつも冷静な風丸がこんな表情を見せるなんて珍しいな、なんて。
ぼんやりと考えつつ風丸の頬にそっと触れたら、すごく熱かった。
風丸に触れたところから熱が伝染したのだろうか、なんだか俺まで熱くなってくる。

「えんど、」
「かぜまる、もういっかい」

風丸の震えた手にきゅっと袖を掴まれて。
俺はまた、キスしたい衝動に駆られ、口づけの余韻が消えないうちにもう一度顔を近づけた。



キス中毒



やっぱり、止められそうにない。








実はまだ付き合ってない円風
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