※別れ話?
※年齢操作(+10)





「別れよう、円堂」

もうお前といるのがつらいんだ。
お前の隣にいることで、どんどん自身が弱くなっていくような気がした。
お前はこんなにも強く輝いて歩んでいるのに、お前の笑顔と言葉に甘えてすがりついてばかりの俺は、お前の隣にいる資格などはじめからなかったんだ。
お前の傍にいたら、お前の邪魔になってしまうのではないか。
いつの間にか辿り着いたその思いは、また一つ歳をとる度に、強くなっていく。
いつまでも、この甘ったるい関係が続くなんて思ってはいない。
俺たちはもう、あの頃のような、ひたすら真っ直ぐにボールだけを追いかけていた子供じゃないのだから。

円堂の為に。
そんなの、都合のいい言い訳だ。
俺はただ、自分が傷付きたくなかっただけ。
いつか円堂が離れていってしまうのなら、いっそ自分から。

「風丸…!」

背後から円堂の声が聞こえる。
大好きな円堂の声が。

「じゃあな、円堂」






去るもの、追うもの






「じゃあな、円堂」

あぁ、あの時と一緒だ。
別れを告げ、去っていく風丸の背中がかつての記憶と重なった。
また俺は、同じ過ちを繰り返すのか。
誰よりも一緒にいて、誰よりも大切だったはずなのに。
まだまだ未熟だった俺は、風丸の気持ちをちゃんと理解してやれなくて、知らずに苦しめていた。
これではあの時と一緒だ。
離れていく風丸を、引き止めきれなかったあの時と。
また俺は、風丸を失うのだろうか。
そんなの。

「……嫌だ」

もう二度と、あんな思いはさせないと誓ったんだ。
だから、今度こそ。

「風丸…!」

かけがえのない存在を、決して離しはしない。
傷ついたお前をもうひとりになんかしてやらない。
お前の辛さも、哀しみも全部。
俺が全部受け止めるから。

たとえ風丸が嫌がったとしても、俺は掴んだ手を離す気は更々なかった。

だから、離れるなよ風丸。





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