守ってあげたい。
そう思ったのは事実だった。
なのに、自分はなにをしようとしているのだろう。

「佐久間…?」

ゴーグル越しに、見開かれた瞳がゆらゆらと揺れた。
組み敷いた身体は、俺よりも華奢なせいか頼りなく見える。
投げ出された手首を握りしめて、さらに力を込めるとミシミシと骨の軋む音がした。
やめろ、と心のどこかで何度も警報を鳴らす自分がいる。
けれど、痛みに歪む彼の表情に、得体の知れない何かが全身を駆け巡ってもう何も考えられない。

「っ……さ、くま」

自分はなにをしようとしているのだろう。
きっとこれは、愛しい彼を傷付ける行為に違いないのに。


「……ごめん、鬼道」


そっと手をかけて、邪魔なゴーグルを奪う。
曝け出された彼の紅い瞳に映っていたのは、見知らぬ醜い獣だった。






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