「なぁ 風丸」

「ん?ど どうした?」

みんなが休憩して寛いだり話したりしている中、不動が珍しく俺に話しかけてきた。

俺は動揺を隠しきれているだろうか。

あまりにも珍しすぎて感動する。

「ちょっと 競争しねぇ?」

「…はぃ?」

「いや お前陸上部だったから速いんだろ?ちょっと競争してみてぇんだよ」

ああ なるほど。と納得すると俺はくすっと笑う。

「俺に勝てる自信があるのか?」

「あぁ?あるわけねぇだろ、元陸上部さんにはかなわねぇよ」

いつになく弱気の不動も珍しいな。と思いながら「そっか」と言ってやる。

「じゃあさ もう一人誘おうぜ」

「は?なんでだよ」

「そしたら不動 気分いいだろ?」

「………は?」

「そいつに勝てば不動二位じゃん」

「いやいや 関係ねぇだろ」

本当は俺が二人で走るのが恥ずかしいなんて死んでも言えない。

ああ……もっと俺に勇気があればな。

「あ 佐久間ー!!」

「ん?」

鬼道達と話している佐久間を呼んでみた。

(まぁ 佐久間なら……不動も)

「何か用か?」

「ちょっと競争しないか?」

「? 何だ藪から棒に」

「風丸が元陸上部だからその実力を見てみてぇんだよ」

「と いうわけだ」

「……ん?俺と風丸が走ればいいのか?」

「え いや不動もだ」

佐久間は首を傾げる。

「二人で走ればいいじゃないか……あ じゃあ俺 よーいどんって言ってやろうか」

「え いや

「頼む」

俺が弁解しようとしたら不動が佐久間に頼んでしまった。

(ふ 不動……)

俺は仕方なくスタンバイした不動の横に並ぶ。

「グランド一周でいいだろ?」

「え、ああ」

「よし! 行くぞ二人共」

真っ直ぐ前を見つめる。

「よーい……どん!!」

佐久間のかけ声で俺達は走り出す。






「は はぁ……はあ」

息を整えていると不動がにやにやする。

「まさか 俺が勝つなんてな!」

「いや 不動 速かったぜ」

佐久間が驚くように言うと不動はさらに嬉しそうに笑う。

(あ……)

わざと、負けたわけではない。

(まさか、あそこまで緊張するとはな)

「また リベンジしていいか?」

俺が不動に言うとふっと笑った。

「機会があったらな」






















馬鹿だな、お前だからだよ
(お前だから負けたんだ)










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なんかただ競争しようぜ!の
不動が書きたかっただけ……

佐久間は本当にどうしたんだろう…




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